結婚指輪のデザインを決める方法１は
基本デザインと幅、素材、テクスチャーなどを
決めていくベーシックな選択方式

結婚指輪のデザインを決める方法２は
好きなモチーフを決めて
平面の絵から指輪という立体にしていく方法でした。

結婚指輪のデザインを決める方法3は
基本デザイン同士を組み合わせて
デザインの幅を拡げる
決める方法1の発展形になっています。

写真の指輪は基本デザイン、
ギメルとシグネットを組み合わせています。

この2つを組み合わせて作った
ギメルシグネットリングを使って
デザイン決めの方法3を説明していきます。

ギメル×シグネット

ギメルリングは
16世紀ごろに流行った結婚指輪で、
ギメルとはラテン語のgemellusゲメッスル、
「双子」という意味から来ています。
繋がっている2本の指輪が
パズルのように重なり
1本の指輪になります。

シグネットとは認印や印鑑のことで、
シグネットリングは
印台リング、シールリングとも呼ばれます。

かつてのヨーロッパの貴族は
この指輪に自分の紋章を
正面の平らな部分に入れて
封筒の封印する蝋に押し当ててて使っていたそうです。

二つの指輪を組みあわせて
ギメルリングの捻り部分を
シグネットリングの正面が入れた
ギメルシグネットリングを1つ作りました。

ギメルリングの上半分の捻りを180度反転、
更に90度ひねることで
もう2つデザインを増やして
3つのデザインができました。

このデザインを
地金の指輪にします。

ギメルは2本の指輪が絡まって重なっているので
地金を2色にすると
雰囲気が変わります。

90度捻りは正面から見たときに左右非対称なので
2色の地金を反転させて
もう1種類増やすことができます。

そのうちの一つを削って成形します。

左から

１、そのままのフラット
２、角を丸くしたラウンド
３、ラウンドに粗いカット面を付けた槌目

という風に３パターンが増えました。

フラット、ラウンド、槌目の3型に
4種類のコンビで合計12本のデザインができました。

側面から見るとこのような形になっています。

サイズ直しで左右対称を崩さずに直せるのは
左側の形のみとなります。

上半分を捻ったギメルリングは
片側を半分にして捻り同士を組み合わせることで
3連にすることもできます。

2連同様に0度、90度、180度捻りの3種類を生かして
3種類の3連ギメルシグネットのCADデータを作りました。

CADデータ通りにできるか
実際に作ってみます。

すでにあった地金原型とWAXパターンを組み合わせて
3連用の真ん中に入る指輪のWAX原型を作ります。

単体では
捻りが1か所の指輪が4本に
捻りが2か所の指輪が3本、
全部で7つの指輪ができました。

鋳造という作業を経て
地金の色違いで6本の3連ギメルシグネットを作りました。

写真のように問題なく解くこともできます。

ペアでつけるなら
形状、幅(2連と3連)、地金の色違いなど
共通点を持たせた組み合わせを
何通りも考えることができます。

ギメルシグネットリングはサンプルとして
2連が18本、3連が6本の合計24本を作りました。

このギメルシグネットリングを
1本の幅を1.5㎜から1㎜、
捻りの距離を半分にして
4つの指輪の組み合わせで
何連でもサイズ直しができる形にしたのが
オリジナルリングです。

2連から5連までで6型を作ることができます。

このように
・基本デザインを組み合わせる
さらに
・地金を反転させる
・形状を変更する
・ペアでの共通点を作る
といったアイデアで
世界で一つの指輪を作ることができます。

他の基本デザイン同士の組み合わせ

GIMMEL×SIGNET

ギメルリングとシグネットリングの組み合わせで、

オリジナルリングができました。

FEDE×GIMMEL

他にも
3本に分かれるフェデリングと
3連のギメルリングを組み合わせた

フェデギメルリングも
お客様からのご依頼で作りました。

ROUND×FLAT

基本デザインのラウンドとフラットの組み合わせでは

指輪をV字にカーブさせて
2つの断面が重なる部分を変えることで
4つの指輪を作りました。

ROUND×FLAT×REGARD

このラウンドとフラットの組み合わせに
リガードリングの要素を足すことで

画像のような指輪を作ることができます。

このように基本デザイン同士の組み合わせで
よりオリジナリティの強い指輪を作ることができます。

結婚指輪のデザインを決める方法

　まとめ

写真の槌目コンビリングは
基本デザインと制作技法の説明用に作りました。

この指輪も一見、複雑なようでも

・幅はメンズが3㎜、レディースが2㎜
・素材はプラチナとイエローゴールドのハーフコンビ
・仕上げは艶消しの槌目模様
・基本デザインはROUND(甲丸)

という風に分けて考えることができます。

この１つ1つの要素を変えることで
自分のお気に入りを詰め込んだ
世界で一つの指輪を生み出すことができます。

この選択肢の多さ、自由さが
オーダーメイドの魅力なので
デザインを決めるお客様のイメージが膨らむように
それぞれの要素はホームページで詳しく説明し、
結婚指輪サンプルもあえて
シンプルなデザインで作ってあります。

ここで紹介している内容は
ほんの1例ですので
店頭ではお客様のご希望に合わせた
より詳しいご提案をさせていただきます。