【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
関節の出た指用リングに新型を追加しました。
過去5回はこちら↓
#009 関節の出た指用リング①
#010 関節の出た指用リング②
#011 関節の出た指用リング③
#012 関節の出た指用リング④
#023 関節の出た指用リング⑤
今回は写真の開閉式リングを作ったのでHPで公開するまでを説明していきます。
指輪のデザインを作る
関節が出た指用の結婚指輪では写真のJOINTをお勧めしています。
このデザインは別パーツを指輪内側の溝に差し込むことでサイズ調整ができるようになっています。
一周模様の入った指輪などをサイズ直しをする場合はこの別パーツで調整するので
指輪自体をカットする必要もないという利点があります。
この指輪は4つ作った試作品の一つです。
この中で市販の金具で指輪を開閉させるタイプも作りました。(写真左上の指輪)
この金具はチェーン用で指輪のアールに合わせると横からパーツの一部がはみ出るため、デザインとしてはイマイチだと感じた事とフルオーダーではなくなるので結婚指輪ページには追加していません。
ただ、別パーツが外れて紛失するかもしれないというデメリットがないので、この金具リングを発展させてフープピアスのように開閉できる仕組みで幅3㎜の甲丸リングのデザインは作れないか考えました。
写真は制作過程での画像です。
開閉する引っ掛かり部分は強度があり、目立たない形を考えて画像のようになりました。
開閉する引っ掛かり部分には負荷がかかるので幅3㎜、厚み2㎜の甲丸に収める中で強度を保てる形状を考える所で一番苦心しました。
左上のように片方を外から内側に少し力を入れると外側に開きますが、手をグーに握って両側を同時に外に開こうとしても引っかかって外れません。
データが出来上がったら実際の制作に取り掛かります。同時期に複数のサンプルを作っていたので一つの原型にまとめて樹脂造形、
WAXパターンで上がってきてから分割して真鍮で鋳造に出します。
画像のように指輪2本分を1セットにして鋳造代を抑えるようにしました。
真鍮になって上がってきたら仕上げてメッキに出します。単色の金、銀、コンビで艶消し、槌目の合計4本を作ります。
コンビリングになるパーツは組み立てて仕上げた後に分解してメッキに出します。
画像のようにメッキされた状態で上がってきてから再度組み立てて完成です。
メッキをしてから組み合合わせて単色の金、銀、コンビで艶消し、槌目の合計4本が出来上がりました。
HPで公開
まずは単色を結婚指輪で公開するので名前を決めます。
指輪が外に向かって開閉するので、まずは英語で「開閉」を調べます。
open and shut 、switchなどがある中、このページに類似語で開閉可能なという意味のクローザブル(closable/closeable)という言葉を見つけました。
クローザブルは響きもよいのでこの名前にしようと思ったのですが、反対のオープナブル(openable)もあるのではと調べるとありました。
この指輪は閉じた状態が通常なので、意味としてはオープナブル「開くことが出来る」のほうが合っています。
こういった流れで閉じた状態でも開くことができると伝わりやすいので、この指輪の名前はオープナブルにしました。
ほかには蝶番(チョウツガイ)がHINGE/ヒンジと言うので、この英語も候補にはなりましたが、デザインと意味がオープナブルのほうが合っているので却下しました。
オープナブルへの追加金額は加工の手間を考えて1万円にしました。
制作は幅3㎜からなので結婚指輪1本当たり基本料10万、幅2→3㎜への変更が2万円、オープナブルリングへの変更が1万円で合計13万となります。
結婚指輪の基本デザインのカテゴリはジョイントと同じく「その他」にしています。
アレンジ例としては槌目コンビタイプをおすすめしています。
トップページのフォトギャラリーにもメインのリンクを張る画像には閉じた状態でコンビの撮影角度を変えた3本と開いた状態を1つにまとめた写真にしました。
この1枚で正面の向きでその日の気分で3パターンから選ぶことができること、開閉できる指輪ということが分かると思います。
まとめ
関節が出た指用のリングに新型が追加されました。
上下に可動部の繋ぎ目が出てしまいますが、ハーフコンビのようなデザインなら目立ちません。ジョイントと違い、パーツを紛失する可能性もなく、指の根本でフィットさせることができるのでおすすめです。
前の記事 | > View More |
次の記事 | > View More |
職人向け 記事一覧 | > View More |