【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
前回のブログで八角形の結婚指輪サンプルを公開しました。
多角形の指輪でよく見かけるデザインは他に四角形があります。
このデザインは作るのは簡単ですが、サイズ直しをしたときに左右非対称が目立つのであまりお勧めできないという理由でサンプルを用意していませんでした。
ただ、結婚指輪のジョイントを作ったことでカットをせずにサイズ調整ができるようになったのでその欠点を克服した事例としてサンプルを作ることにしました。
以前に公開した結婚指輪のジョイントは甲丸で厚みは1.8㎜になっています
ゴム型からWAXパターンを取ってあるのでこの指輪を応用して八角形、印台リングなどを作っていきます。
今回はイラストの4本を指輪は真鍮、パーツはシルバーで作っていきます。
WAX原型制作
写真のスケッチのように大まかなデザインと加工のスケジュールなども決めてから作業します。
サンプル制作ではこのようにスケジュールを書いて鋳造待ちの間にイラスト制作や文章の下書きを済ませ、指輪が出来上がったら撮影して画像修正してサッとホームページで公開できるようにしています。
樹脂造形のコストを抑えるために制作方法はジョイントのWAXパターンと四角形のWAX指輪を使います。
まずは写真左のWAXブロックから4㎜厚の板を切り出します。
中央と右のチューブWAXは正方形を切り出すには足りないので使いません。
4㎜厚の正方形にカットしたら地金のジョイントリングを置いて指の通る穴を中心に開けます。
画像のように四角形のWAX指輪とジョイントのワックスパターンが用意できました。
四角形の円の直径はジョイントリングの外側の直径よりやや小さく作ってあります。
四角形の円の内側をリューターで削ってへこみを作り、WAXパターンを押し込みます。
これで淵の段差部分をワイヤーWAXでぐるっと取り囲んで溶かして一体化させます。
鋳造から地金になって指輪とパーツが上がってきました。
この地金の指輪を削って原型にして、ゴム型を取ってWAXパターンを量産します。
地金の状態でジョイントパーツをロー付けします。
ジョイントパーツをカットして溶接、
ゴム型を取って4つのWAXパターンで四角形、八角形、印台、平打ちリングを作っていきます。
地金になってからだと削るのが大変なのでWAXで形を大まかに決めておきます。
素材は価格の安い真鍮で作ります。
地金になってから削るので多少の余裕を見て厚めに作っておきます。
これにサイズを調整するジョイントパーツを4つ用意します。
先ほどカットしたパーツは指輪とコンビになるシルバーで鋳造をお願いします。
WAXの段階で4つのパーツをまとめて鋳造依頼することで金額を抑えます。
鋳造上がり
4本の指輪とジョイントパーツが鋳造から上がってきました。
シルバーパーツはカットして磨いておきます。
指輪の全体をやすりで削り、溝を磨き終わったら指輪の溝に接着材を付けたパーツを差し込んで固まるまで待ちます。
終わったらバーナーで炙って接着されたパーツを外して全体を仕上げます。
4本の指輪が完成しました。
ホームページで使う写真はオリジナルリングのように4本を横1列に並べた画像をメインにします。
TOPページの修正
この4本を並べた画像をメインにTOPページのJOINT画像と差し替えます。
1枚目の横長画像でパーツが取れて同色とコンビのどちらかを選べること、
2段目左は関節の出た指輪用ということがわかるイラスト、
2段目右は関節の出た指輪用のテクスチャー違い、
3段目が今回作った指輪で甲丸以外の指輪もジョイントパーツを作れる
という見本になっています。
TOPページをスクロールしたときに最初のサンプルで作った甲丸以外もできることがこの4枚の画像でわかると思います。
MARRIAGEページの修正
マリッジに追加した内容と同じですが、
・指輪をカットせずにサイズ直しをできるので指輪のバランスが崩れない
・多角形の指輪などほとんどの指輪で対応可能
という内容にしてあります。
当初はワークスにも投稿しようかと思っていました。
ただ、前回のブログでも書きましたが八角形の指輪をすでにワークスで公開済みな事とTOPページで大きい画像をアップしているのでマリッジのジョイントページでアレンジ例の一つとして見てもらえればいいと思い、今回はワークスへの投稿はしませんでした。
まとめ
関節が出た指用リングのアレンジ例として平打ち、印台、四角形、八角形の指輪ができました。
四角形ジョイントでゴム型を取ったので時間があれば他の変わった形の指輪を作るかもしれません。
この後、公開する予定ですが、模様が一周入った指輪でもこのジョイントにすることでカットをしないでサイズ調整ができる事例として結婚指輪クラダリングのサンプルを作っています。
ブログでは関節が出た指用のタイトルではなく、フェデリング関係のタイトルにする予定なので先に書いておきますが、ジョイントリングは多角形の指輪よりも写真のようなサイズ直しでカットすると模様が消えて綺麗に復元できない指輪に一番向いているのではないかと思います。
上のクラダ/ジョイントリングができたらマリッジのジョイントページにも書き加える予定です。
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