【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】

ホースシュー(馬蹄)は幸運のお守りとしてジュエリーでは定番モチーフの1つです。

このホースシューリングの印台タイプを結婚指輪の基本デザイン ヒストリカルに、

前回作ったパーツ開閉の仕組みを使って指の根本でフィットするタイプを作品集のページに追加したので、今回はこの指輪ができるまでを書いていきます。
ホースシュー(馬蹄)とは

なんとなく幸運のお守りという事は知っていても馬の蹄鉄がどうしてラッキーアイテムになっているかは知らなかったので結婚指輪ページで説明するために調べました。
簡潔にまとめると
・ホースシュー(Horseshoe)とは蹄鉄(ていてつ)の事で、馬の蹄(ひづめ)を保護するためのU字型の保護具。
・野生の馬と比べて家畜の馬は餌や遺伝的要因で蹄が弱く、積み荷の運搬や人を乗せて走るためには蹄の破損を防止し、摩耗を防ぐために蹄鉄を付ける。
・蹄鉄は馬だけでなく、牛やロバにもつける。
・初めて西洋の文献に現れるのは4世紀でギリシャ人によってもたらされたと言われていて、ヨーロッパでは扉に蹄鉄をぶら下げると魔除けや幸運のお守りになると信じられている。
という事のようです。
デザインを考える

まずは馬蹄型の指輪画像を集めます。
NETで調べてみるとホースシューというとペンダントネックレスでU字に添ってメレの留まったデザインが多い印象でした。

馬蹄は縦向きと横向きがあり、そのまま腕を取り付けると物足りない印象になるからなので両サイドにパーツが付くデザインも多い印象でした。
結婚指輪の新型はペアで作ります。
当初は画像一番下の横向き馬蹄の袖あり、レディースのみ馬蹄部分にメレ留め、メンズはメレなしのデザインを考えていました。

結婚指輪として使うことを考えてできるだけ小ぶりで作りたかったのでレディースは1㎜のメレを馬蹄部分に配置します。
メレの幅ギリギリよりも縁ありにしたかったので0.3㎜の縁を付けて留め方は共有爪にして宝石の数を調整していきます。

画像は制作過程です。横向き馬蹄だけでなく、縦向きの馬蹄も作ってみました。




横向き馬蹄は見ているとベルトのバックルのようなので、そこから着想を得て、前回のブログで説明したオープナブルリングの仕組みを応用して指関節が出ていても指の根本でフィットする仕組みを加えることにしました。

こちらが完成形です。
指輪には横向き、縦向き馬蹄パーツのどちらも指輪にハマるように作ってあります。

開閉させた時に袖の部分にぶつからないように実際に動かして確認をしています。


後でかしめるパーツの軸部分が指輪の受け側に通る確認もします。


パーツの高さは軸とメレが入る中で最も低くなるサイズで作っています。
横向き馬蹄パーツの中心は高さ2.5㎜、縦向き馬蹄パーツ中心は高さ3.5㎜になりました。
指輪を作る

データが完成したら樹脂造形に出します。

今回も他の樹脂原型と合体させてサンプル制作代を抑えるので指輪の甲丸腕部分は3分の2位は削除しています。

ワックスパターンになって上がってきたらホースシューリングのパーツを切り分けてワイヤーワックスと合わせます。

結婚指輪ページに投稿するホースシューリングは一番シンプルでおすすめの形と考えて印台タイプにすることにしました。
ホースシューの印台リングはブログ#071 イニシャルリングで作ったワックスパターンと合体させて作ります。

メンズは石無しにするのでワックスの段階で石座を埋めておきます。

真鍮になって鋳造から上がってきたら、

仕上げてメッキをして完成です。


これで結婚指輪の新型の印台タイプと


アレンジ例の3型が完成しました。
当初は画像の袖ありで動かない指輪を結婚指輪と新型にする予定でしたが、調べてみると馬蹄の意味が上向きは上方から幸運を招き入れ、下向きは不運を落とすという意味があるそうなので馬蹄は縦向き、袖に関してはこのホースシューリングに必須のデザインではないので最もシンプルな形と考えて印台リングを結婚指輪の新型にしました。
HPで公開する

指輪が完成したのでまずは結婚指輪ページを公開します。基本デザインのカテゴリーはヒストリカルに入れて、名前はHORSE SHOEにしました。

ワークスには関節が出た指用のホースシューリングをどう動くか分かるようにした1枚をアイキャッチ画像にして投稿しています。

4本それぞれの金額ですが、左から3本目までは石代は同じです。直径1㎜のダイヤモンドは1PC550円で全9PCなので4950円、留め代が9000円なので指輪1本につき、合計13950円が追加されます。

左から一つ目は
正面 縦6×横5㎜、厚み3㎜、腕の幅2㎜
→幅3㎜で計算、
左から2つ目は
正面 縦6×横5㎜、厚み3㎜、
背面 腕の幅3㎜ 厚み2㎜
→幅は4.5㎜、厚みは3㎜で計算しました。

左から3つ目、4つ目は幅は4.0㎜としてオープナブルの仕組み追加10000円で本体の馬蹄の縦向き、横向きどちらも同じ金額にしました。

マリッジページとワークスページに投稿が終わったらトップページのフォトギャラリー部分にホースシューリングの画像を追加します。
一番下の画像をクリックするとワークスに投稿したホースシューのページに移動できるようにリンクを張ってあります。
まとめ

ホースシューリングについては以上です。
結婚指輪に新型としてホースシューリングを追加しました。
トップパーツが大きいとクルクル回る欠点も解消するデザインが出来たのでホースシューをご希望のお客様には定番の印台タイプだけでなく、開閉タイプもおすすめする予定です。
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