【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
前回のブログ オーダーメイドの指輪を作る過程#019 八角形エンゲージリング①で樹脂原型を確認したお客様から作業を進めてのOKが出たので次回のお渡しまでに指輪を完成させます。
指輪の完成
樹脂原型のOKが出たのでK18の指輪を完成させます。
今回の加工で気を使うのが石留めです。
ダイヤモンドは硬度が10と鉱物の中では最も割れにくいのですが強い衝撃で角が欠けることがあります。
今回は八角形で8つの尖った角があります。
覆輪で留めたとき時に割れないように地金の当たる部分を丸く削っておいてダイヤモンドの角が当たらないようにしておきます。
割れないように留める方法は言葉で説明すると覆輪の爪を徐々に倒していってダイヤモンドがカタカタ言わなくなって止まったら爪をダイヤモンドに沿わせる、地金を上から叩くのではなくダイヤに向かって引っ張るように留めます。
終わったら仕上げをしてレーザー刻印を依頼しに行きます。
レーザー刻印
今回は樹脂原型を見てもらうまでにレーザー刻印が決まらなかったので、HPの事例を説明して後日メールで送っていただきました。
お客様はイラストレーターが使えるということでご自身でデータを作ってもJPEGで送ってもらえればこちらでレーザーのデータに変換しますと伝えました。
書体が「バスカービル」に決まったので同じ大きさで宝石の石目と地金の種類の刻印データを作ります。
今回、お客様は指輪の真下にハートが来るように刻印の場所を指定してこられました。
この位置に刻印があると将来サイズ直しをしたときに消えてしまうので、そのことを伝えて少し横にずらすか、指示通りかを選んでいただきました。
横に少しずらすというこちらのご提案で決まったのでレーザー刻印の依頼をしに行きます。
このようにメールでは今後にことも考えたアドバイスなどもお送りしています。
これが終わればサッと仕上げて指輪は完成です。
ご納品準備
今回は樹脂原型、ゴム型、ワックスパターン、SV925の指輪をお渡しします。
指輪はダイヤモンド、石座、腕の形と全て八角形なのでリングケースもそれに合わせた画像の八角形をご用意しました。
他に紺、緑、ベージュがあり、K18の色にあって一番高級感があった赤にしました。
正方形を面取りしたような八角形のケースはありましたが、正八角形のケースは探すと意外となく、御徒町で何件かあるケース屋さんを廻ってやっと見つけました。
欲を言えばブライダルで使える白も欲しいところです。
リングケースはお店ではロゴ入りのものを用意しておくのが普通だとおもうのですが、今回のようにデザインに応じた箱やジュエリー全般のオーダーを受けるのでピアス用、ペンダント用など必要に応じてその都度仕入れています。
ディスプレイを作る
以前、ご納品したフェデギメルリングはマリッジリングとリングケースとは別に無印良品のアクリルケースに加工でできた試作リングやゴム型などを収納してお渡ししました。
今回はリングケースが金のラインが入った高級感のある赤です。
アクリルは合わなさそうなので東急ハンズに行くと桐の箱がありました。
今回は婚約指輪と赤のケースもこの桐の箱に入れてお渡しすることにしました。
婚約指輪、リングケース、ゴム型、樹脂原型、WAX、シルバーの指輪をコルクのチップ、100均で2個のガラス瓶を使って箱の中に納めます。
こちらがまとめたご納品の一式です。
あとは写真のお渡し準備をします。
打合せの時にお客様から制作中の写真も欲しいということで明るさだけ処理をしておきました。
今回のお客様はお仕事で使っているようでデザイン画をイラストレーターで書いて持ち込んで、レーザー刻印もデータで送ってくださったりとデジタル全般に強い印象でした。
おそらくご自身でトリミングなどしたいと思うのでこちらで画像修正はせずに明るさの調整だけしてお渡しすることにしました。
フォトフレームを作る
今回の完成までの写真を1枚のダイジェスト写真にしてフォトフレームに入れてお渡しします。
先ほど明るさだけ調整した写真から16枚の写真を選びます。
プロポーズするお相手に分かるように
今回のオーダーで重要なポイントの
・お客様がご自身で書いたデザイン画
・お客様がご自身で用意したダイヤモンド
なども入れておきます。
プロポーズ後には金の指輪は贈られた女性が身に着けることになります。
ボックスには空箱のみとなるのでフォトフレームにはどんな指輪があったかが分かるように一番下の段の4枚は完成した指輪の写真にしました。
こちらがお渡し前の様子です。
プロポーズ用に白いリングケースも用意しておきました。
まとめ
今回のオーダーはデザインは左右対称さが求められるCAD向きのデザインでシンプルな形ですが考える部分も多かったです。
また1回目の打ち合わせでは通訳の方がいましたが、2回目からご納品までは海外のお客様とこちらの拙い英語で対応させていただきました。
細かい部分の打ち合わせが大事なオーダーメイドで英語は不安でしたが、デザイン画と原型制作ではCAD、メール対応での打ち合わせではグーグル翻訳といった「技術の進歩」に助けられて無事ご納品することができました。
前の記事 | > View More |
次の記事 | > View More |
職人向け 記事一覧 | > View More |