【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
お店のオープン当初から用意している多角形を意味する結婚指輪POLYGONをカット面アリの多角形リングから新たに四角と八角の多角形リングで公開し直しました。
以前の結婚指輪POLYGONは新型を追加して名前をFACETに変えたので、今回はこの新旧の多角形リングについて書いていきます。
多角形リングを変更した理由
写真はお店のオープン当初から用意していた多角形の指輪です。
この指輪は10角形を3つ上下に重ねて真ん中の10角形の角度を変えて頂点同士を点でつなぐ形で原型データを作りました。
これは一番最初に結婚指輪サンプルを作ったときに、画像のような上から見て垂直な多角形の指輪はインパクトもなく、平打ちリングに面を付けたアレンジとして説明できると思ったからです。
そこで結婚指輪ページではお好きな数の多角形でカット面あり、なしから選べるという表記をして垂直な多角形リングはご注文が入ってから作ることにしていました。
その後、お客様から写真のような石座と腕が八角形の婚約指輪のご注文がありました。
そこで今後もご注文がありそうなので結婚指輪のサンプルとして八角形リングを数パターンを作りました。
改めて多角形の指輪のデザインを考えたときにこの八角形のようなフラットな面の指輪のほうが多角形という名前にふさわしく、結婚指輪ページにあったほうが良いと思ったので作り直すことにして、
これまで公開していたカット面ありの10角形の指輪は別の名前の変更して、再投稿することにしました。
多角形リング(新型)
まずは新しい多角形リングを作ります。
3角形は結婚指輪として毎日着けるには少し個性的すぎる気がするので4、6、8、10、12角形からメンズとレディースで2つを選ぶことにしました。
これまで投稿した結婚指輪はメンズとレディースで形が違う場合、メンズがシンプルでレディースが個性的な形を選んでいます。
10角形以上だと平打ちリングにカット面を付けているようで多角形リングだとわかりにくそうなので、メンズは多角形とパッと見で分かりやすく一番人気がありそうな8角形、レディースは個性的な4角形ににすることにしました。
6角形は指に付けた時に画像のような先端が横向きになったときに邪魔そうなので選びませんでした。
デザインが決まったら早速指輪を作っていきます。
以前の指の関節が出た人向けの結婚指輪ジョイントを作った時にそのアレンジ例として写真の四角形、八角形、横長長方形の印台、平打ちリングの4種類を作りました。
この4本はすべて画像の四角形と別パーツの付いた原型からWAXパターンを取り出して作っています。
1から作ると手間がかかるので今回もこの原型を使いました。
こちらが完成した指輪です。
多角形の角は尖らせたままと丸めた形、辺は直線だけでなく、凹みや膨らみのアレンジを加えることもできるのでその説明用イラストも併せて作りました。
多角形リング(オーダー事例)
多角形のオーダー事例として細身の6角形リングを用意してWORKSのページにも投稿しています。この指輪はテクスチャーを入れてメッキはしていません。
この指輪は真円の指輪を六角形の芯金に入れて叩いて作っていて、2本は六角形の指輪を角度を変えて2等分して半円と繋げています。
結婚指輪ページだけでなく、打ち合わせでも使いたいので腕の幅、厚みは幅1.5㎜と細めで作ったこの指輪を結婚指輪サンプルとして男性でもイメージしやすいように3㎜幅で作り直すことにしました。
制作に使う六角形の芯金は小さいサイズしか作れないのでリングサイズは11号で作ります。
まずは完成時にサイズ11号になる長さの幅3㎜の真鍮板を用意します。
これを丸めて溶接して
まずは通常の丸い芯金で円を出してから六角形の芯金に入れて指輪を変形させます。
六角形の指輪を角度を変えて2等分して半円と溶接して2パターンの指輪を作ります。
あとは仕上げてメッキに出します。
これで結婚指輪ポリゴンのページで1.5㎜幅のメッキなしリングの画像を3㎜幅のメッキありリングの画像に差し替えを行います。
こちらが画像を差し替えた新しい多角形リングのページです。
スクロールするとアレンジ例として今回作った六角形、以前に作った八角形、カット面ありの旧ポリゴンリングも出てきます。
様々な多角形リングができたのでSNSへの投稿にも使いました。
多角形リング(旧型)
新しい多角形リングが出来たのでカットありの多角形リングは別の名前を付けて別ページに移動させます。
新しい名前でパッと思いついたのは「多面体」です。英語で調べてみると多面体はPolyhedron(ポリへドロン)でした。この言葉はあまり馴染みがなく、語感もイマイチな気がしました。
ジュエリーでは表面がツルっとしていてカット面のない形はカボション、ダイヤモンドのようにカット面がある宝石はファセットといいます。これは辞書にも載っている言葉でカット面のある多角形リングの見た目とも合うと思ったので、新しい名前はFacet(ファセット)にすることにしました。
それから新しい多角形リングはメンズとレディースで形が異なっています。このファセットも他にどんな形が作れるかの説明をするためにもどちらも同じ形ではなく、レディースだけ形を変えることにしました。
右の形なら左の原型をアレンジして問題なく作ることができます。
新しい多角形リングはメンズが8、レディースが4角形で倍数でのペアリングになっています。
10角形のカット面ありリングに対して画像のように上部に5角形がある10角形リングは対のデザインとしてもバランスが良いと感じました。
制作方法は10角形のカット面ありの内側に1㎜厚くらいのワイヤー板を巻いて、
地金で鋳造後に画像のように5角形のケガキ線を引いてヤスリをかけて面を作って仕上げました。
あとは仕上げて金メッキをかけて完成です。
多角形の指輪のレディースとも個性的な部分で対比になっていると思います。
これで新たにFacetという名前で結婚指輪ページに投稿しました。
フォトギャラリーにあったワークスへ投稿した八角形リングページのリンク画像は
結婚指輪ページの多角形リングに移動できるように修正しています。
まとめ
多角形の指輪については以上です。
オーダーメイドなので他のお店が提案しない個性的な形、ただ、結婚指輪として使っていて飽きない形も考えて写真のような2つの多角形ベースの結婚指輪サンプルが完成しました。
前の記事 | > View More |
次の記事 | > View More |
職人向け 記事一覧 | > View More |