【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
結婚指輪の基本デザイン パターンにチェーン模様の指輪を追加しました。
アレンジ例として2種類のコンビリングも作ったので、新しく作った理由などこの指輪ができるまでを説明していきます。
指輪を作る
以前に公開した「オーダーメイドの指輪を作る過程#088チェーンリング」では写真のようなペアで金具とチェーンが違う指輪を作りました。
指の関節が出ていても根本でフィットする結婚指輪サンプルとして作りましたが、この指輪はフルオーダーではなく、チェーン、金具は既製品から選んでデザインを決めるセミオーダーになります。
なので、フルオーダーの結婚指輪ページに新型として公開ではなく、作品集のページでの公開にしました。
この指輪はファッションジュエリーに近く、その構造上、通常の結婚指輪のように内石や刻印も入れることができません。
そこでチェーンリングをチェーン「模様」の指輪として作って、結婚指輪ページに追加することにしました。指輪の模様にすることで内側に刻印を入れることも出来て、実際の鎖ではないので切れることもありません。またチェーンリングは駒一つでサイズ調整をするので㎜単位でのサイズ指定が難しいデメリットがあります。これもCADの模様にすればデータ修正で解消することができます。
チェーンの種類はベネチアン、アズキ、キヘイ、ボールの4つが定番です。
この中で模様にするならどれが良いか考えて写真のキヘイで模様を作ることにしました。
SVキヘイチェーンや画像を参考にして立体的な模様のキヘイを作っていくので、まずは幅3㎜に収まるように1コマのデータを作ります。
画像のように楕円ドーナツ状のデータに捻りを加えて等間隔で一列に並べます。
これを横から高さ(厚み)2㎜の甲丸リング状に変形させます。
唯の丸喜平は物足りない印象だったので平面をつけたカット喜平に変更しました。
あとはサイズ16号に丸めて完成です。
完成したデータは半分に分割して引っ掛かり部分を作って、指の関節が出ていても根本でフィットする仕組みを考えました。
画像だと分かりにくいのですが、穴と芯の太さはピアスポストと同じφ0.7㎜で互いに嵌ると、外側に力を加えても片側がひっかかって外れないようになっています。
デザインはこの半分を左右対称で反転させて組み合わせるだけなので原型は指輪の半分で済みます。
チェーン模様リングのデータが完成したら、他の指輪データと合体させて原型を作ります。
そして写真のように真鍮で鋳造してペアの結婚指輪サンプルを作りました。
この後にハーフコンビだけでなく、チェーンの駒一つだけ素材を変えたコンビリングも作れることに気が付きました。
チェーン模様自体ももっと目が詰まったほうが見栄えが良さそうなので画像のように一コマだけのデータとハーフのチェーンリングを作り直して一緒の原型にまとめて先ほどと同じ手順で作っていきます。
分解できる駒1つとハーフの腕をWAXパターンにしてハーフ2本の半分を画像のように駒半分だけカットして合体させます。
これで先ほどと同じように鋳造、仕上げ、メッキをしてハーフと駒の数は同じ一部コンビ用の真鍮リングが出来ました。
パーツは取り外しできるので指の関節が出ていても根本でフィットさせることができると思っていましたが、接地面が少なく、φ0.7㎜の細いポスト部分は力が加わると折れてしまうので溶接必須のコンビリングということにして追加料金15000円がかかることにしました。
駒の数は1個~ハーフまでどこまでのコンビリングにしても溶接箇所の数は変わらないので金額は同じです。
HPで公開する
指輪が完成したのでHPで公開します。
まずは結婚指輪のページにペアで投稿します。チェーン模様なのでこれまで通り、指輪の名前はそのままCHAINです。
内容はこれまでに書いてきた事で既製品の鎖で作るチェーンリングと違い、チェーン模様の指輪で内側が平らになっているので刻印や内石留めができること、駒の数を指定でデザインに違和感のないコンビリングにできることも書いておきました。
以前にトップページのフォトギャラリーに並べてWORKSのチェーンリングにリンクを張っていた画像は、
このように変更してMARRIAGEのチェーン模様リングへリンクを貼り直しておきました。
まとめ
チェーンリングについては以上です。
結婚指輪にふさわしいチェーンリングを考えてチェーン模様の指輪が完成しました。
パッと見ては普通のチェーンリングと変わらず、デザインを壊さずに駒の個数を選んでコンビリングにすることができて、細かいサイズ指定が出来ないという弱点も克服した指輪になりました。
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