ご依頼があったフェデギメルリングの納品が終わりました。
オーダー結婚指輪専門店を作る方法フェデ/ギメルリングのタイトルで受付からご納品までの流れで①と②の合計1万字ほど書いてみました。タイトルにフェデ/ギメルリングと入れてどちらの検索でもヒットするようにしています。
ここまで書き終わってブログの
ワークスで作ったギメルリングが基礎で、
オリジナルのギメルシグネットが応用、
お客様がご依頼のフェデギメルが実践というわかりやすい流れになりました。
このフェデギメルリング3では若い職人さん向けに良かった点や反省点、次のご依頼にどう生かすかをまとめていきます。
ワークスに投稿
まずはご納品後に加工事例とてワークスに投稿をします。
この作業はオーダー結婚指輪専門店を作る方法フェデ/ギメルリング①②でHPには画像を大量にアップロードしてあり、文章もおおよそできているのでそれを再利用すればそこまで時間もかかりません。
オーダー結婚指輪専門店を作る方法~は職人さん向けで専門的な内容になっているので一般の方向けに画像が多めにして書き直してワークスに投稿しました。
デザインのポイントや制作工程、オーダーの流れを書いて最後に感想で締めてあります。
比較してもらうとわかりますが一般の方向けなので詳しい加工内容などは省いて2000文字程度の読みやすい内容になっています。
今回のデザインはインパクトがあり、ホームページを訪れ方には見てもらいたいので後日、TOPページから目立つ場所にリンクを張る予定です。
良かった点と反省点
ワークスに投稿をしたら終わりではなく反省点やどうすれば今後に活かせるか考えます。
良かった点
今回のデザインはお客様から聞いたところによるとオーダー指輪専門店5社がお断りか制作できるかわからないという曖昧な回答、1社が当社の2倍の金額でお見積りだったそうです。
なので今回のご依頼は「難しい」「手間のかかる」オーダーメイドになると思いますが、お断りせずにご納品できて良かったです。
お客様が当社を選んだ決め手は
1、メールが早くて丁寧、
2、、金額が他より安い
3、作れると断言してあいまいな回答をしなかった
とのことでした。
・検索した時にヒットするデザインをHP上で公開しておいたこと
・ベースのデザインはあることで制作したことがなくても応用で対応できるとメールで回答できたこと
これがお客様のご来店につながりました。
コストを抑えて造形する方法などもオリジナルリングで考えた複数の指輪を1つの原型にする方法が生かせたと思います。
何よりお客様の第一希望のデザインでご納品できて喜んでいただけたことが良かった点だと思います。
反省点
反省点は大きく2つあります。
1、CADデータの制作に時間がかかったこと
データ制作途中にCADの専門業者さんに依頼のほうがいいかもしれないと思い、依頼できるか聞いたところ制作不可と断られ、試行錯誤しながら最後まで一人で作りました。
サイズ調整可能なパーツ付きのデータで指輪を作れないかなどデータ修正のエラーでやり直しているうちに完全にホームぺ―ジの更新やサンプル制作が止まってしまいました。
2、原型確認がパーツの状態なのでイメージしにくい
通常の指輪は樹脂原型が地金の形になりますと説明できますが、今回はCADのパーツで出した後、鋳造地金をまげて、組んでロー付けといういくつかの技法の組み合わせで作っています。
シルバーのパーツで出来上がりイメージの確認はしてもらいましたが、実物のデザインは真鍮の試作リングにして組み合わせるまでCADのデザイン画でイメージしてもらうしかありませんでした。
使っているCADソフトで今回の人の手のような具象系のデザインに対応する技術がまだないので手の部分も角が出ている状態で地金になってから丸くしました。
1、時間を見てCADの腕を磨く
2、具象系にも対応できるソフトを導入する
3、難しいデザインも対応できる外注依頼先を探す
などしておく必要があると感じました。
次のご依頼にどう生かすか
無事、納品できたので満足するのではなく、次に同じような加工依頼がくる可能性と似た加工だとどんな依頼が来るかを考えてサンプルを用意しておきます。
今回、お客様から何枚か送っていただいた画像の中で3本の指輪の後ろをビスでかしめてスライドさせることで1本にまとめるフェデリングがありました。
このアンティークデザインも今後依頼があるかもしれないことと結婚指輪のページに加えてもいいかもしれないと思い、サンプルを作ることにしました。
ちなみにフェデリング、ギメルリング、クラダリングはデザインが混同されていてサイトによっては同じ形でも別の名称だったりします。
当店では両手、それにハートがある指輪はフェデリング、王冠がプラスされているとクラダリング、
パズルのように絡み合っているリングをギメルリングとしています。
なのでこの指輪はフェデリングと呼びます。
フェデリングの起源は古代ローマで握りあった両手は男性と女性の手を表していて外すと下から愛情を意味するハートが現れます。
この3本で一組の指輪を花嫁、花婿、立会人が1本ずつ持ち、結婚式の時に一つにしたそうです。
この分割できるデザインが一番スタンダードなフェデリングだと思うので結婚指輪のページに追加できるサンプルを作ることにしました。
指輪部分
今回のオーダーで余分に作っておいたギメルリングのWAXパターンを再利用して作ります。
まず2本のリングを用意します。
これを捻りのある部分とない部分で2分割します。
捻りのない部分を同士を繋げます。
あとは鋳造デ地金にしてWAXで繋げたでっぱり部分を整えれば幅1㎜、厚み2㎜の平打ち指輪3本セットの原型ができます。
今回はシルバーで作りました。
この状態で一度、出っ張りをとってからゴム型を取り、真鍮で鋳造依頼します。
この原型はワークスでのサンプル制作にも使う予定です。
フェデリングの制作
真鍮の材料が用意できました。
両手パーツは今回作ったWAXパターンの袖部分の模様を消してから地金にしました。
まず3本のリングを分割して腕の部分を作ります。
3本の指輪を接着材で固めて1本の平打ちリングにしたら両手パーツを分割します。
平打ちリングの甲丸リングに削って磨いたら接着を外して両手とハートのパーツを3本の指輪それぞれにロー付けします。
出来上がりがこちらです。
1本ずつに外すこともできます。制作工程はフェデギメルとほとんど変わりません。
3本をまとめるビスは後からつけることもできるのでまずはビス無しで作っていきます。
これで定番のフェデリングをお客様に見せることもできます。
結婚指輪ページに追加する場合はフェデギメルや1㎜幅リングのようにこの真鍮フェデリングを3本1セットの状態でゴム型を取ってパーツロー付けなしで済むようにします。
片方は分割できるタイプ、もう片方はビスを付けたスライドタイプにするのもいいかもしれません。
ギメルに変更の場合は下半分を交換することで作ることができます。
クラダリングの修正
結婚指輪ページのクラダリングは王冠部分と両手ハート部分を上下に重ねるとクラダリング、単体ではフェデリングに見えるように作っておきました。
新しく作った3連のフェデリングを加えるとデザインが多少かぶってしまいます。
ワークスで作ったクラダ1のレディースは単体でも分かるクラダリングになっています。
あとはケルト編みの隙間がうまく鋳造できず、やり直しもしたかったのでケルティックノットも修正しています。
フェデリングを結婚指輪のページに追加する場合は今のクラダリングの代わりにこのワークスで作り直すつもりです。
3連ギメルリング
オリジナルリングの3連は一本が幅1.5㎜です。
フェデギメルリングを作ってみて指輪の厚みが1.8㎜で普段は3㎜幅のまとまった状態で使うなら1本の幅は1㎜でも強度的に問題なさそうだと感じました。
結婚指輪のギメルリングのアレンジ例として追加することにして3連リングを真鍮で2本作りました。
後日ロジウムとK18イエローゴールドでメッキをしました。
まとめ
比較的シンプルな指輪のオーダーと違い、今回のような現物がない状態で複雑なデザインで打ち合わせもする場合はお客様にどう説明するのかが悩むところだと思います。
難しいデザインのオーダーメイドの事例としてお問い合わせからお渡しまでと今後にどう生かすかなどをまとめてみました。
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