【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
前回は結婚指輪のデザインの決め方について説明しました。
お店は準備期間も含めると4年が過ぎ、結婚指輪のサンプル制作関連は一段落しました。
それに伴い、久しぶりに接客方法の見直しを行ったので、今回のブログではその事について書いていきます。
接客で使うもの一覧
オーダーメイドの接客で主に使うのは赤丸の
①結婚指輪サンプル
②アクリル引き出し(誕生石などの見本)
③商談ファイル
です。
他にもPC、リングゲージ等も使いますが、メインはこの3つです。
この①~③が大分変ったので順番に説明していきます。
①結婚指輪サンプルは前回のブログで書きましたが、大体のリングトレイが縦10列、横7列に収めているので1トレイに指輪70本×4で全部で280本はあります。
指輪は特にどんなデザインにするか決めていないお客様と打ち合わせするときに説明しやすいように順番を考えてトレイ並べてあります。
②アクリル引き出しはもともと5段だったのですが、
リングトレイが大きくなった影響で保管しているロッカーに入らなくなったので3段に減らしました。
1.5㎜の色石はもともとは2段だったのですが、ルースケースを一回り小さいものに変えたことでいくつかを除いて1ケースに収まりました。
③商談ファイルは見た目に大きな変化はありませんが、
結婚指輪のデザイン決め説明ブログを見開きでまとめたページを加えたりと、最初の頃に比べて内容は充実してきました。
新しい接客の流れ
ここからは新しい接客の流れについて説明していきます。
まずはご予約のお客様には
「#078 マリッジリング動画①」で作ったオーダーメイドについてHPで公開、店頭でご説明している内容を30分にまとめた「結婚指輪のオーダーメイドについて」の動画と
「#105 デザイン決め説明ページ」で作った具体的にデザインをどうやって決めるかについて写真付きでアレンジ例などをまとめた「結婚指輪のデザインの決め方」のブログのURL2つをメールに張り付けて、
「事前にこの動画とブログを見る事でデザインのイメージが膨らみ、店頭でより具体的な打ち合わせをすることができます。(早いお客様だと30分ほどの打ち合わせでデザインが決まります)
お手数ですが、一緒にご来店されるお相手の方にもこのリンクを貼ったメールの転送をお願い致します。」
という内容で送ります。
あとはお客様がご来店された時に①結婚指輪サンプル②3段アクリル引き出し③商談ファイルに入れた「結婚指輪のデザイン決め説明」ページを使って説明をするというのがオーダーメイドの大きな流れになります。
メールで送る「結婚指輪のオーダーメイドについて」は動画で、「結婚指輪のデザインの決め方」はブログなのは
・動画は指輪のデザイン要素、金額、特典、アフターフォロー等、お客様全員に必要な内容で一通り聞いてもらう必要があるので、受動的に見れる動画が向いている。
・ブログはデザインが決まっている人には不要。決まっていない人は知りたい部分だけ選んで読めるようにリンクも張れるので、能動的に自分のペースで読めるブログが向いている。
・今後、接客で使いたい指輪の説明を追加する場合もブログは修正、更新でURLも変わらずに楽。動画は一度削除して再アップロードになるので手間。同じURLのまま差し替えることはできない。
というのが主な理由です。
動画の内容はずっと使えるような大まかな説明だけにしてあり、詳しい説明はHPを見るように促す内容になっています。それに対してブログは新しいサンプルを今後も追加して改善していくという違いもあります。
今回の接客方法の見直しで一番の変化は打合せ時間の短縮です。
指輪の数自体も増えた事で予備知識なしでご来店された場合にお客様が迷う時間、こちらの説明時間も増えます。
これまでは指輪の要素を分けて好きに選んでもらうオーダー方式でしたが、数が増えたのでシンプルから複雑なデザインの順番にこちらである程度流れを決めてストーリーにして説明したほうがお客様も理解しやすく、イメージも膨らむと思い、長文の「結婚指輪のデザインの決め方」ブログを作りました。
これの動画とブログをメールで送るメリットは打合せ時間が短くなる、デザインのイメージが膨らみやすいということ以外に他の人を雇った場合に接客をお願いできるという点です。
店頭では前回作った「結婚指輪のデザインの決め方」の見開きを使ってデザインを決めていくので覚えることはそこまで多くありません。
何を話せばいいかの簡易マニュアル、突然のご来店で動画とブログを見ていない場合の接客方法も作ってあります。
その場でデザインが確定することはまれなので、デザイン画とお見積りは後日送ることにすれば、1回目のご来店ではおおよそのデザインを決めるだけで問題ありません。
制作の可・不可や難しいご相談があれば自分が同席しなくても、PCのテレビ電話機能で対応することができます。
デザイン画をお送りして受注になった場合はご納品までは主にメールでやり取りをします。
接客だけでなく、このメール対応もお願いできるようにおおよその流れがわかる全4ページの接客・メール対応マニュアルも作りました。
長くなるので詳しい内容は省きますが、用紙の左に接客・メール対応の流れ、右のグレー部分にどうしてそう回答するのかの理由や注意点などを書いています。
例えば、
メール対応で気を付ける事は
・お客様は結婚式の準備、仕事など忙しい合間に何社か比較して指輪の下見をしていることが多いので何度も質問がくるような返信は良くない。
・相手の立場になって少しでも負担が減るようにこちらが送るメールは1件に複数の内容をまとめて、お客様が送るメールは短い回答で済むように工夫をする。
・場合によっては画像付きPDFにまとめてメールは短く
・基本的にメール返信、荷物の発送は素早く。
といった基本的なことも初めてメール対応をする場合はわからないのでまとめておきます。
こうすることで接客、メール対応を任せることができれば、困ったことがある時だけ表に出るか、お店にいなければテレビ電話で対応ができるので受注数が増えても難しい提案込みのデザイン画、原型制作などに時間を使うことができます。
仕事を文章化しておくメリットはもう一つあって、まとめることで改善点が見つかります。
マニュアルを作るときはベストな文章を作ろうとするので今回の見直しではこれまで送ったメールを見返して今ならこうするという反省点が多数見つかりました。マニュアルにはこの反省点も当然、書き込んでおきます。
メール対応のマニュアルにはスマホも使うので使うアプリ一覧とその用途も入れました。
そこから発展させて、新しい人には新しいPCを支給することになるので、インストールするアプリ、お気に入りにピン留めするサイトの一覧などの初期設定もまとめておきました。
このPC設定に関してもよく使うアプリ、サイトを選んで使いやすく並べる必要があるので自分のPC内の改善、整理整頓にもなりました。
以上の改善、整理整頓が終わってから当店の特徴、結婚指輪の選び方、他店との違い、オーダーの仕組みを簡潔に説明できるようにA4用紙で4枚にまとめました。
接客ではこの用紙を印刷、商談ファイルに入れて使う予定です。
まとめ
接客方法の見直しについては以上です。
このブログを読む人は今後、指輪のお店を始めたいというジュエリー職人さんを想定して書いています。
ある程度、加工が出来る人にとっては制作過程の話よりもお客様が来た時にどんな風に提案をするのか、ご納品までの流れ等のほうに興味があると思うので、今回まとめてみました。
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