【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
前回の仕上げ見本リングに続いて、手作り指輪結婚用に写真のようなサンプルリングを12本作りました。幅は2.5㎜です。
作品集のページでも公開済で、タイトルは手作りの見本なのでそのままSample for selfmade(サンプル フォー セルフメイド)です。
今回はこの指輪を作った理由とHPで公開するまでを書いていきます。
形状見本リングを作った理由
通常の手作り指輪コースは素材と幅をお客様が事前に選んで制作日までに地金棒を用意しておきます。
日帰り結婚指輪コース
納期 | 制作日にお渡し(2週間前予約) |
金額 | ペア ¥198,000(税込み) |
1人 ¥90,000+税 | |
幅 | 2.5㎜ |
素材 | Pt950、K18YG |
刻印 | 手打ちスタンプか器械彫り |
ペア特典 | ロゴ入りリングケース2個、 |
オリジナルミニトートバック | |
アフターフォロー | なし |
この結婚指輪コース以外に作った日にそのまま指輪を持ち帰れる幅を2.5㎜に限定した「日帰り」コースもご用意しています。
「日帰り」コースは体験予約サイト経由でも予約ができます。その場合は工房に直接来ていただくので、店頭で用意している指輪見本を見ることができません。
工房用のサンプル兼、仕上げ作業の見本として作ったのが前回の仕上げ見本リングです。この指輪は日帰り用に幅2.5㎜の甲丸で作ってあります。
仕上げ見本リングだけだと指輪の形状は甲丸1種類しか見本がないことになります。
そこで形状の見本となる指輪を時間や予算をかけずに済む数を幅2.5㎜で作っておくことにしました。
シンプルな結婚指輪の中でも形状に少しアクセントがあるデザインは定番で人気があります。
当店でもオーダーサンプルとして細い幅で写真のようなヤスリで削り出した指輪やこういった指輪のアレンジ例として素材や石留め、仕上げを組み合わせたサンプルも用意しています。
工房用の手作り指輪見本もオーダーと同じように形状に少しアクセントの効いたデザインを用意することにしました。
仕上げ見本は写真のような仕上げ10種類とその10種類がすべて入った指輪を作りました。
金色の仕上げ見本と並べたときにバランスも良いので、斜めのカット面や溝が入った指輪サンプルを銀色で10本作ることにしました。
写真のように紙におおよそのデザインを考えたら、さっそく制作に入ります。
指輪の形状は指の根本でクルクル回っても同じ形の平打ちや甲丸が定番の一方で、少しのアクセントを入れたいという需要もあります。
アクセントになるデザインはたくさんある中でツイストリングのような斜めのカット面を入れることにしました。
手作り指輪は板を曲げて作る鍛造技法で作ります。
ツイストリングもできますが、捻った部分の隙間でサイズが合わない場合があるので手作り指輪では制作不可にしました。もしも手作りでツイストリングをご希望に場合に今回作る斜めのカット面はその代わりにもなると思います。
指輪を作る
どんなデザインにするかおおよそ決まったら早速サンプルを作っていきます。
まずはシンプルな平打ちリングを12本作ります。
作り方はこれまで何度も書いているので詳しくは省略しますが、幅2.5㎜、厚み2.0㎜の真鍮板を用意してサイズは16号になる長さでカット、
ロー付けして指輪にします。
斜めのカット面ですが、手作り指輪ではお客様に制作方法を教えながら作っていきます。
写真などの見本があればマジックやケガキで線を引いて感覚で1工程ごとに説明していきます。
この教え方でも良いのですが、鍛造技法のサンプルのように完成品の見本と共に加工工程の見本も用意すれば、お客様がどう作業を進めて良いのかを理解しやすいと思います。
そこで制作過程でポイントとなる途中経過の見本も作ることにしました。
真鍮リングは合計で12本、表面は艶消し、内面を鏡面仕上げにしたら
ロジウムメッキをかけて完成です。
完成した指輪はこちらです。
写真1段目の左から
①平打ち、②甲丸、③その2つを組み合わせた指輪
中心に斜めのカット面をつけた指輪の
④制作過程、⑤完成形、⑥石留めアレンジ例
両側に斜めのカット面をつけた指輪の
⑦制作過程、⑧完成形、⑨石留めアレンジ例
両側に斜めにカット面をつけた指輪の
⑩溝付けアレンジ例、
⑪溝を拡げて立体感を出したアレンジ例
⑫その立体感に丸みを帯びさせたアレンジ例
となっています。
すべての指輪が①の平打ちから削って制作可能で、
⑤中心に斜めのカット面をつけた指輪と
⑧中心に斜めのカット面をつけた指輪は
それぞれ制作過程を作りました。
カット面をつけたデザインは平打ちリングにガイドラインを引いておくことで、初めて作業する方でも見本と同じように作ることができます。
ケガキで引く等間隔のラインの長さを調整することで斜めの角度やカット面の広さを変えることも可能です。
直径1.0、1.3、1.5㎜のキュービックジルコニアを使ってそれぞれのレディース用石留め見本も作っておきました。
これで工房用に仕上げ見本12本、形状見本12本が完成しました。
幅、刻印、素材、誕生石など他に必要な見本は店舗から持ってきて、打合せの時に使う予定です。
HPで公開する
手作り用形状見本リングが出来たので作品集のページで公開します。
指輪の名前ですが、当初は「斜めのアクセント」という意味でAccent (diagonal)/アクセント (ダイアゴナル)という名前を考えていました。
アクセントには音の強弱以外に単調なものの印象を強めて、人目を引き付けるために付け加えるものという意味があり、ダイアゴナルは斜めを意味します。
ただ当初は形状サンプルとして作っていたのですが、ベースとなる平打ち、甲丸リングに石留めや制作過程も入ってきて「斜めのアクセント」要素だけではなくなりました。
そこで最初の目的の「手作り指輪用の見本」という意味が短く伝わるSample for selfmadeという名前にしました。
内容はこのブログで説明したようなどうしてこの12本を用意したのか、どんなアレンジができるかなどを書いています。
金額はオーダーメイドでの価格と幅は2.5㎜と決まっている手作り指輪の日帰りコースの両方の金額を載せました。
まとめ
前回の仕上げ見本に続いて手作り結婚指輪用に幅2.5㎜の形状の見本ができました。
店舗と工房が別なので、直接工房に来るお客様用に時間を見て手作り指輪用のサンプルは徐々に増やしていく予定です。
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