【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
結婚指輪ではお二人の星座刻印や模様を入れるデザインは定番です。マリッジリングで星座モチーフの模様リングを新たに追加したので今回はその説明をしていきます。
以前に作った星座リング
星座モチーフの指輪自体は以前にCADでデータのみ作りました。
形に特徴があって分割したときにバランスが良さそうなので、双子座と蟹座をレディースとメンズの上下で分割するデザインにしています。
これは他のサイトで星座モチーフリングを調べると、刻印などでも星座の形を結婚指輪の幅に収めようとすると小さくなりがちなので世界地図の指輪のようにモチーフを大きくするために上下分割にする指輪が多い印象だったからです。
占いなどで見かける星座のマークもありますが、星同士を線で繋ぐデザインのほうが人気がありそうなので、無料画像を参考に12星座分のイラストも作りました。
星座とは
今回、星座リングのサンプルを作るにあたり、指輪のページで説明するので星座とは何かを改めて調べました。
星座は季節によって見えるものが異なるので古代から農業で種蒔き、収穫の時期を知るためや航海で自分の船の位置や進む方角を知るためにも利用され、星座自体は、メソポタミア起源で、てんびん座以外はシュメール時代に生まれたといわれるほど歴史があり、その中でも黄道帯(太陽の通り道)にある現在の12星座は黄道十二星座として天体観測でも重要視され、そこからメソポタミアで星占いを行っていた神官によって決められたといわれています。
そこからギリシャの天文学者・プトレマイオスが整理した「トレミーの48星座」(プトレマイオスは英語でトレミー)が16世紀までは基本となっていました。
それ以降に星座は徐々に増えていき、全88個の星座が1928年、国際天文学連合によって決められ、学名と英語3文字の省略も世界共通のものが定められました。
というのが星座の基本情報で、サイトに載せる内容がおおよそ決まったら指輪の英語名も決めます。
この指輪の名前は星座の英語名にするので調べるとコンステレーション(Constellation)とゾディアック サイン(Zodiac sign)という2つの言葉が出てきました。
どう違うかというと誕生日によって決まる星座占いの12の星座(黄道十二星座)はゾディアック サイン(Zodiac sign)で、上の12星座を含む国際天文学連合によって決められた全88の星座はコンステレーション(Constellation)と呼ばれます。
たくさんの星が集まって形を表わす「星座」は有名な冬のオリオン座、夏のペルセウス座、白鳥座などご依頼がありそうなので12星座以外以外も含むコンステレーション(Constellation)という名前にしました。
新しい星座リング
表面に星座の模様を入れる結婚指輪は定番デザインの一つになっているので、CADデータだけでなく、実際の結婚指輪サンプルを新型として用意しておくことにしました。
前回作ったCADデータの指輪に入れた星座は2種類にしました。
星座名 | ラテン語 | 英語 |
牡羊座 | Aries(エアリーズ) | the Ram |
牡牛座 | Taurus(トーラス) | the Bull |
双子座 | Gemini(ジェミナイ) | the Twins |
蟹座 | Cancer(キャンサー) | the Crab |
獅子座 | Leo(リオ) | the Lion |
乙女座 | Virgo(ヴァーゴ) | the Maiden |
天秤座 | Libra(リブラ) | the Scale |
蠍座 | Scorpio(スコーピオ) | the Scorpion |
射手座 | Sagittarius(サジタリアス) | the Archer |
山羊座 | Capricorn(カプリコーン) | the Goat-Horned |
水瓶座 | Aquarius(アクエリアス) | the Water Bearer |
魚座 | Pisces(パイシース) | the Fish |
12星座の形自体は知らない人にとってはただの模様に見えるので、一本の指輪表面に12星座すべてを入れた結婚指輪を原型で作り、その中から2個を選んで別パターンの指輪を作って、どちらかを結婚指輪ページに追加することにしました。
今回改めて12星座の画像を調べてみると星同士を繋ぐ形、星の数に正解はないようでバランスの良い形を探してアウトラインを引き直しました。
制作手順としてはまずは細い幅に収めても肉眼で見やすい、出来るだけ簡略化されていて12星座のイラストを選んでCADのデータを作っていきます。
この12星座イラストが出来たら立体にして指輪の模様として甲丸リングのアールに沿わせます。模様は表面に膨らむタイプで作ることにしました。
同時期に他のサンプルも作っていたのでコストを抑えるために原型を1つにまとめて、
ワックスパターンなってから半円同士を合わせて真鍮で鋳造、仕上げていきます。
これで12星座のペア、以前に作った星座リングのように2つの星座を選んだ場合のサンプルリングを作ってそれぞれ金、銀色でメッキをします。
作業工程は割愛しましたが、2つの星座を選んだ場合のサンプルリングはWAXパターンの状態で選んだ2つの星座を切り出して順番を並べ替えて合体、ほかの10個の模様は消して地金で鋳造に出しています。今回は形のバランスが良い獅子座と水瓶座を選びました。
完成したCADの指輪を見て両方同じ形ではなく、凹みで星の部分が点状のパターンもあったほうがいいと思ったので1本だけレーザー刻印のサンプルも作りました。
CADデータは線の太さを変更する機能があるので、点の部分を増やすだけでなく、幅3㎜に合うサイズで調整しています。制作に時間はかかりませんでした。
12星座の結婚指輪のアイキャッチ画像はメンズはCAD、レディースはレーザー刻印にして凸と凹模様の対比にすることにしました。
このサンプルを制作中にやはり以前に作った星座リングのように2つの星座を上下で分割するデザインもあったほうが良いと思ったので、追加制作をすることにしました。
獅子座と水瓶座の2つを並べてどちらも幅3㎜でレディースが上、メンズが下になるようにして分割します。
レディースは丸の部分に1.0㎜の宝石を入れるイメージで星座の位置は微調整しました。
CADなら追加料金もかからないので裏面には刻印のような模様を入れます。
お客様が表に模様は目立ちすぎると思われた場合はこちらをおすすめします。
原型データが出来たら先ほどと同じように他の原型と合体させて完成させます。
模様部分のみ樹脂造形に出してワックスパターンが上がってきたら、腕の部分はワイヤーワックスを使って指輪に形にして地金で鋳造に出します。
地金になって、仕上げてメッキをしたら最初に作った星座リングと合わせてHPで公開します。
HPで公開する
12星座の指輪とイラストができたので結婚指輪ページの基本デザイン パターンのカテゴリにコンステレーション(Constellation)という名前で投稿します。
CADとレーザーで12星座の凸と凹模様の比較をメインに結婚するお二人の星座2つを入れる、上下で分割するパターンならレディースは星の位置に1㎜のメレを入れるアレンジや裏面に入れるのもおすすめという内容を書きました。
この星座リングもおすすめで初めてHPに訪れたお客様には見てもらいたのでTOPページのフォトギャラリーに追加しています。
まとめ
星座の指輪については以上です。
CADで凸模様、レーザーで凹模様をそれぞれ12星座分用意したのでお客様がどの星座を選んでも完成をイメージしやすいのではないかと思います。
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