【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
マリッジリングの基本デザイン パターンへの追加で
編み込み、麦の穂に続き、最後は山の模様の指輪です。
ブログのタイトルはマウンテンリングにしました。
デザインを考える
この山のデザインは海外サイトで見かけてMOUNTAIN RINGで画像検索するとたくさん出てきました。日本でもオーダーメイドや手作り結婚指輪で見かけるデザインなので今回マリッジリングサンプルとして追加することにしました。山のシルエットをCADでスケッチして指輪の模様にするので、まずは山の画像を集めます。
この山の指輪は
・登山が好き
・お二人にとって思い出の場所が山だった
・山と関係のある仕事をしている
・住んでいる場所や故郷の山を指輪に模様として入れたい
という人がオーダーすると思うので、
まずは世界一標高の高い山 エベレスト、
模様は山単体ではなく、横長の山脈にするので日本の山脈も調べました。
当店は関東にあるので関東山地のシルエットで以前にWORKSに投稿したCITYの指輪のような形でやや平甲丸で山の部分は背景よりも出っ張ることで段差のシルエットが出ます。
ただ、このままだとシンプルすぎる気もしたので山のアイコンやイラストでも検索しました。
フリー画像で気に入ったものが見つかりました。このシルエットのほうが指輪にしたときに立体感があり、遠くからでも山の模様と分かります。今回はあくまでサンプルなのでそのまま使用しても著作権が問題ないフリー画像でサンプルを作ります。
まずは画像をデスクトップに保存してモノクロで山の部分とそれ以外がクッキリするようにコントラストを強くします。
イラストレーターで山のシルエット画像を開いてアウトライン化、
保存するときに「ICCプロファイルを埋め込む(P)」と「圧縮を使用(M)」のチェックマークを外してOKを押します。
CADソフトのライノセラスを立ち上げて画像をインポートで先ほど保存したイラストレーターのデータを開くと山のシルエットの平面曲線(アウトライン)が表示されます。
この平面曲線は場所にっては2重になっているのでまずは1本になるように不要な線を削除します。
平面曲線同士が樹脂造形する際の段差などは0.3㎜は開けないと埋まってしまうのでこの線の点を表示させて前後左右に移動させてバランスを調整します。
データ制作に関して少し専門的な話をすると、これまでは残った線を選択して「押し出し(閉じた平面曲線から)」という機能で立体にしていました。
不要な線が消せていない場合や線が重なっているのに1つの線として合体している場合、その場では立体に出来ても他のパーツと合体させるときにエラーになってしまうことがあります。
樹脂造形を依頼するときはすべてが一つに合体したデータでないと3Dプリンターで出力できないのでエラーが出たデータは使えません。
この解決方法も今回判明して、山の形の平面曲線を選択、「押し出し(閉じた平面曲線から)」ではなく、山の形の平面曲線を選択して「サーフェス(平面曲線から)」や「パッチ」で面を作り、「押し出し(サーフェスから)」で立体にします。
エラーの状態になっているかもしれない曲線からではなく、平面から立体にすることで後で他のパーツと合体させるときにエラーは起こりません。
できた立体を平甲丸に重ねて断面に合わせて丸く沿わせます。これで山の部分が平甲丸指輪に対して凹んだ形と膨らんだ形の2種類を作りました。
今回は原型データを他の指輪と合体させるので山の模様部分だけを長さ1.8㎜、幅3㎜以内で収まるように作りました。(画像の1マスが1㎜です。)WAXパターンになった状態でどうするか詳しく説明していきます。
指輪の制作
樹脂造形を経てWAXパターンが出来上がりました。この指輪から山の模様のパーツだけ切り取ってWAX原型を作っていきます。ワイヤーワックスは幅3㎜、厚み2㎜で作ってあります。このサイズは売っていないのでφ4㎜のワイヤーワックスをローラーで伸ばして作りました。ローラーには機械油を塗ってワイヤーワックスとくっ付かないようにしています。
金色のレディースと銀色のメンズは山の模様パーツを一つに残り3分の2はワイヤーワックスをcげて一本の指輪にして、繋げた部分は地金になってから仕上げます。
この山の部分のアレンジ例として4つの山パーツを繋げて一本の指輪にします。4つのうち3つにはWAXを盛りつけました。こちらも地金になってから仕上げます。
その後、ワックスパターンが真鍮になって上がってきたので仕上げていきます。
まず結婚指輪ページに使う2本は全体をつや消し、内面を鏡面に仕上げます。
これでそれぞれ金色、銀色のメッキをして完成です。
4つの山脈模様パーツを1つにまとめたアレンジ例は表面を埋めた部分をヤスリ、鏨やリューターポイントで成形します。
このマウンテンリングは雪山の写真も見て金よりも銀色のイメージなのでロジウムメッキをします。
HPで公開する
指輪のサンプルが出来たので結婚指輪ページに追加します。名前はそのままでMOUNTAINです。
説明文はここまで書いてきた内容で写真などをもとにお好きな山で指輪を作れること、山だけでなく、街などの風景でオーダーできることを書きました。
アレンジ例として写真のような4パターンを一つにまとめた画像も投稿しました。金額は1本12万円です。
まとめ
これで編み込み模様、麦の穂に続いて山の模様の指輪も結婚指輪サンプルに加わりました。
幅は広いほうが山の模様も細かく作り込めますが、実際のオーダーではご希望の山の指定があることを想定して結婚指輪として定番の幅3㎜にして、細い幅に合わせて模様も小さく半周だけにしました。
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