【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
外側の指輪を指で挟んで固定したまま、内側の指輪本体を回転させることで正面の小窓部分の宝石の有無を切り替えることができる指輪を作りました。
この指輪を作ろうとおもったきっかけはご注文があった#127客注虹色石コンビリングの7色の宝石が入る指輪です。
虹色の宝石は男性の指輪としては派手なので、そこまで目立たないように側面に留めました。形状は甲丸リングをご希望だったので指輪の側面は内側に凹むような形にしています。こうすることで宝石を留める地金面積の幅も広くなります。
派手な色の宝石を男性向けに作った当店のサンプルとしてはリガードリングがあり、メンズは側面に宝石を入れています。
他に宝石を目立たせない方法としては宝石の留まったトップパーツが回転して地金だけの面に変更できるスイベルリングをご用意しています。
少し前に無限大マークモチーフで縁のある指輪を作りました。
この無限大コンビリングをのような縁のあるコンビリングを溶接せず、中心の地金板が一部空いて回転する指輪があれば宝石部分は正面の向きのまま、隠す/出すのどちらかを選ぶことができます。
男性に需要がありそうなので、サンプルを作ることにしました。
指輪を作る
派手な色の宝石を使った見本にしたいので、これまでと同じ直径1.5㎜のリガード石が留める形で考えていきます。
幅は3㎜で上下の縁は0.5㎜にして、爪は4点留めで回転する甲丸状のカバーに当たらないように石座部分の高さはできるだけ抑えます。
縁の厚みは2㎜、石座のある腕の厚みは1㎜にしました。
今回も指輪の原型は半分だけ作ってWAXで2つを合体させて1本の指輪にします。
片側の石座は埋めてしまっても良いのですが、見える石座は片側だけなのでリガード石の反対には無色のキュービックジルコニアを留めることにしました。
画像のように回転するカバーは2㎜幅、1㎜厚の平甲丸で作ります。
これは幅2.5㎜、1㎜厚の平甲丸のワイヤーワックスがあったので、地金になってから幅2.0㎜に削って作ることにしたので樹脂原型は作りません。
これまで通り指輪の半分の原型データを作ったら、他の指輪のデータと合体させて、
樹脂造形、ゴム型取り、
WAXパターンを取り出して、
指輪の形にして真鍮で鋳造を依頼します。
こちらが鋳造から上がってきた状態です。
回転カバー用の指輪は一つにまとめて鋳造依頼しました。
これを画像のように仕上げて石留め、回転カバー用の指輪は石座が見えるようにカットして、少しバネを効かせて本体にはめてみます。
カットした部分に指を引っかけてスムーズに回転できるかを確認したら、カバーを外してメッキに出します。
今回作ったサンプルは画像の4本です。
金色、銀色が1本
本体が金色、回転カバーが銀色が1本、
本体が金色で縁をミル打ち、回転カバーが銀色で槌目仕上げが1本、
の4本です。
4本とも宝石はキュービックジルコニアとリガード石が入っています。
コンビの2本には2か所の石座の間にレーザー刻印を入れました。
これで1本の指輪で
1、地金のみ
2、ダイヤモンド
3、リガード石
4、イニシャル刻印
の4面から選ぶことができます。
HPで公開する
まずは結婚指輪ページに投稿します。
指輪の名前はHide&seek/Secret Window/Slideなどの候補の中から回転を意味するRotate(ローテート)にしました。
オーダー基本料(結婚指輪) | ¥100,000×2 |
幅を2㎜→3㎜に変更 | ¥20,000×2 |
ローテートリングに変更 | ¥10,000×2 |
Diamond φ1.5㎜×6PC | ¥8,400×2 |
(GOOD・SI ¥1,400/PC) | |
脇石留め ¥1,000×6 | ¥6,000×2 |
Total | ¥288,800 |
この指輪への変更価格は追加¥10,000で幅は3㎜からの制作にして、メンズ、レディースとも石座が6石でダイヤモンドが留まった場合での金額を出しています。
本体とカバーで素材を変えても、CADで原型に入れるミル打ちや槌目仕上げにしても金額は同じです。
オーダー基本料(結婚指輪) | ¥100,000 |
幅を2㎜→3㎜に変更 | ¥20,000 |
ローテートリングに変更 | ¥10,000 |
Diamond φ1.5㎜×6PC | ¥8,400 |
(GOOD・SI ¥1,400/PC) | |
REGARD石 | ¥5,900 |
脇石留め ¥1,000×12 | ¥12,000 |
外側にレーザー刻印 | ¥15,000 |
Total | ¥171,300 |
アレンジ例としてコンビリングでレーザーでイニシャルのS&Aで模様を入れて、ダイヤとリガード石の両方の石座を入れた指輪も載せて金額を出しました。
この指輪のメリットとして表面カバーを回転させることで4面からお好きな部分を正面に向けることができるということも書きました。
トップページのフォトギャラリーにも画像とローテートリングへのリンクを貼っています。
まとめ
表面カバーが回転する指輪については以上です。
今後、お客様がリガードリングや目立つ宝石を指輪表面に入れるデザインをご希望の場合は今回作った表面カバーが回転する指輪も併せてご提案する予定です。
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