【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
お客様からのご注文で7色の宝石を虹のようにグラデーションに並べたコンビ素材の結婚指輪をお作りしました。
今回はこの指輪をご納品するまでを書いていきます。
打合せ
お客様が当店を選んでくださった理由は新婦様が7色の宝石を虹のように並べた指輪が作りたいと思い、NETを調べていてHPで小粒の宝石をたくさん載せてあったからとの事。
内石用に直径1.5㎜の宝石は40種類ほど用意しているので、窓際で太陽の下で色を見て7つを選んでいただきました。
こちらが後日正式にご注文があってから仕入れてきた宝石です。
左から
①ロードライトガーネット / rhodolite garnet
②スペサルティンガーネト / spessartine garnet
③イエローダイアモンド / yellow diamond
④エメラルド / emerald
⑤ブルートパーズ / blue topaz
⑥サファイア / sapphire
⑦アメシスト / amethyst
となっています。
打合せでは宝石の留め方や指輪の素材、幅などを順番に決めてデザインを絞って後日メールでデザイン画をお送りしました。
最初の打合せ時に新郎様はメンズで7色石留めは派手すぎるかもしれないと気にされていたので、画像のリガードリングのような側面留めタイプをご提案しました。
話していて平打ちよりは甲丸が良いとのことでご提案したのが画像の指輪です。
指輪の厚みは2.0~1.8㎜で作ります。宝石は1.5㎜で指輪の幅に収まるように折衷案として画像のように平甲丸に宝石を傾けて留める方法をご提案、デザイン画を作りました。
ちなみに宝石が小さければ甲丸に近づけることができるので、宝石屋さんに1.3㎜、1.0㎜で今回の7石がないか確認をとると
ロードライトガーネット → 1mm / 1.25mm
スペサルティンガーネット → どちらも欠品中で1.5mmから
イエローダイヤ → 1mm / 1.3mm
エメラルド → 1mm / 1.3mm
ブルートパーズ → 1mm / 1.25mm
サファイア → 1mm / 1.3mm
アメシスト → 1mm / 1.25mm
」ということで揃わなかったので宝石のサイズ変更は止めました
この平甲丸でペアのデザインを作り、側面の宝石を入れない場合も考えて甲丸のデザインも作り選んでもらいました。
メンズは2つ実物を見て比較して決めたいということになり、
①試着リングで2個目を追加(石座なし)
②試着リングの平甲丸を側面宝石タイプに修正
③樹脂原型で2個目を追加(石座あり)
④追加なし(PDFから1つ選ぶ)
の4パターンをご提案して、追加料金をいただいて①の2個の指輪を作ることになりました。
この試着リングは納期を短くする目的で真鍮棒をローラーで伸ばして鍛造技法で作っています。ちなみにWAXで原型を作って鋳造にした場合は2週間もかかります。
お送りするリングゲージは3㎜幅です。
今回は幅広なのでこのゲージとの誤差もありそうなので試着リングセットには返送用スマートレター(小さいレターパックライト)も同封しました。
サイズが出ている証明としてサイズ棒に入れた指輪の画像と
「試着リングについて
幅広の試着リング(特にメンズ)に対して
リンゲージの幅は細くなっています。
リンゲージでサイズを確認して
最終サイズを決めるのが不安な場合は
無料で試着リングのサイズを直します。
同封のスマートレターに住所シールを張って、
真鍮指輪のみを入れてポストに投函、
変更希望サイズをご連絡下さい。
試着リングのサイズ直しが不要な場合は
通常通り、「ご納品までの流れ」に沿って
レターパックライトに入れてご返却下さい。
宜しくお願い致します。」
という文言を書いた用紙も同封しました。
通常の3㎜幅までならこの工程は不要です。
この後、お客様から連絡があり、メンズはサイズ直しをして再試着をしたいという連絡がありました。
そこで試着リングを返送してもらい、サイズ直しをして再発送しました。
その後、お客様から連絡があり、
メンズは宝石が側面に入る平甲丸タイプ、
レディースは甲丸タイプに決まりました。
デザインとリングサイズが決まったのでCADで原型データを完成させます。
指輪を作る
ハーフコンビの原型は断面の中心に組み木のように嵌め込める凸凹を作ります。
その理由は
・従来の真っ平な面でロー付けする場合は多少のずれがあると調整で必要以上に削ってしまうことがあること。
・ピッタリにロー付けする技術が難しいこと。
・凸凹があったほうが強度が強いから
です。
メンズの側面石座は地金が減らず、強度が一番保てる形状に変更してデータを作りました。
今回のデザインは地金で石座のない平甲丸リングを作って彫り留めでも作ることもできます。
ただ、今回のメンズ平甲丸の場合は下穴が表面を貫通、もしくは地金が薄くなる危険があるので、事前に断面の形を見ることができるCADの方が制作には向いていると思います。
お客様には刻印完成イメージ図と一緒にPDF1枚にまとめたデザイン画、3Dの原型データをみてもらってから樹脂造形に移りました。
画像のように4本のパーツを1つにまとめて
宅配で樹脂をお客様にお送りして、形状確認のOKをもらって液ゴム、WAXパターンを取って
Pt950とK18YGで鋳造、
ロー付け、サイズ出し、石留めをして、
レーザー刻印をして仕上げたら完成です。
こちらがご納品した指輪のセットです。
写真は刻印に焦点を合わせた画像です。
メンズは普通に正面から撮影すると虹色石が写らないので、
メインの画像は画像のような角度で撮影しました。
これなら指輪の幅がどのくらいかは分かりませんが、虹色石と2色のコンビリングのペアということが分かると思います。
特典のフォトアルバムはご納品日に記念撮影をした写真を入れて後日制作・発送、用意した画像はメールでお送りしています。
7色の宝石を虹をイメージしたことがデザインのポイントなのでHPの作品集のページではコンビリングということも分かるようにRainbow / combination(レインボー / コンビネーション)というタイトルにしました。
まとめ
この指輪については以上です。
シンプルなデザインですが、オーダーメイドで受注する場合はご納品までの流れで改善する事など色々と気付くことの多い指輪でした。
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