【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
結婚指輪の表面に猫の模様を施した新作を4つ作りました。
腕はすべて3㎜幅の甲丸で正面の猫の形に違いがあります。
今回はこの猫の指輪ができるまでを書いていきます。
デザインを考える
現在、刻印には特典としてお好きなアイコンを入れることができます。見本の指輪には刻印として入れる方が多い飼っているペットの犬と猫のアイコンを入れています。
少し前から模様リングに新型を追加していて、基本デザインのパターンは結婚指輪としてふさわしい、できれば何か意味のある模様で指輪を作っています。
ペットの犬と猫を模様として入れた結婚指輪もNET上でよく見かけるので当店でも用意することにしました。
当初は犬と猫の両方の模様リングを作る予定でした。たたアイコンとして用意した犬を見ると分かりますが、犬種によってシルエット、顔の形が全然違います。
一方の猫は特殊な種類を除けばシルエットはほぼ同じなのでデザインは1個で済みます。
それから調べたところ、近年、飼育数が最も多いペットは猫ということも分かりました。
犬に関してはオーダーが入ってからご依頼の犬種ごとに作ることにして今回のサンプルは猫だけにすることにしました。
まずは刻印見本の時に作った猫の全身シルエットを押し出した形で作りました。高さを抑える目的で甲丸部分はへこませてからシルエットを押し出しています。
それから猫の画像検索をしているときに丸まって寝た状態の彫刻画像をいくつか見つけました。
余計な部分をなくして耳の付いた頭、胴体、尻尾だけでも丸まっている猫ということがわかるので平面のシルエットタイプ以外に同じような形で立体タイプの指輪を作りことにしました。
立体タイプは指輪の幅3㎜に収まるようにするのに大分試行錯誤しました。
これで立った状態の全身シルエット模様と丸まって寝ている立体模様が出来上がりました。
出来上がったら画像の猫と甲丸の繋ぎ部分だけを合体させた状態で指輪の形にして、
模様部分だけを樹脂造形に出して、
WAXになってから腕を取り付け、リング状にして真鍮で鋳造、仕上げてメッキをしてサンプルの完成です。
何匹か飼っている方もいることを想定してWAXパターンで平面模様の猫は3つを繫げた指輪(3匹飼っている場合)も作りました。
HPで公開する
男性向きにはさりげない平面模様、女性向けには可愛らしい立体模様で結婚指輪ページに投稿しました。動物リングとしてはスネークリングに続く2つ目となります。
今回は結婚指輪ページで猫の説明をするために日本で飼育数が最も多いペットであること以外に載せることができる縁起良いジンクスがないかも調べました。
そもそも日本での猫を飼うという歴史は古く、平安時代初期に書かれた『寛平御記』という日記には作者が父親からもらった黒猫を飼っているという記述があり、その頃からペットとして猫を飼うという慣習があったことが伺われます。
特に黒猫は夜でも目が見えるので江戸時代に結核が流行したときには厄除け・魔除けのようなお守りの役目として人気のペットになったそうです。
有名な夜に黒猫を見かけると縁起が悪いというジンクスは明治以降に欧米の一部の地域から入ってきたもので、イギリスでは黒猫を飼う船乗りは無事に航海できる、自宅の玄関先にいると幸せが訪れる等の言い伝えもあるようです。
古来の日本では黒猫の厄除け・魔除けだけでなく、白猫・三毛猫も開運招福の象徴として大切にされてきました。
有名な招き猫は右手がお金を招き、左手が人や縁を招くという意味が込められていて、その色によっても招く福が変わるようです。
今回作った指輪では猫の手を上げたポーズはないので幸運のジンクスの多い動物で人間との関わりの深いペットであることを簡潔にまとめて書いておきました。
この投稿が終わった後に画像のような手を枕にして寝る彫刻を見つけました。
先ほどの頭、胴体、尻尾だけもシンプルでいいのですが、手と足が付くことでより猫の形が分かりやすく、この形の方が好きな人もいると思うので追加で作ることにしました。
今回は頭の下に手が入るので幅3㎜に収めるために頭は少し小さくします。
あとは楕円の棒を曲げて手や尻尾にして胴体と合体させて3つ目の完成です。
それから猫の指輪で画像検索すると指輪の幅いっぱいに猫が顔の前に前足を出して伸びをした状態の指輪を何本か見つけました。
このタイプは丸まった尻尾にメレをいれたデザインもあったので、地金になったあと1.5㎜のメレが入るように前足でボールを遊ぶイメージと合わせて画像のような猫の形で作りました。
あとは先程と同じように立体にして指輪の形に丸めて猫の部分だけを樹脂造形に出して完成させます。
これで合計4種類の猫リングができました。
結婚指輪ページには追加の2本の画像と説明を加えています。
今回の指輪は4本作って結婚指輪としてもおすすめのデザインになった事、他の動物でのアレンジもイメージさせることができるので作品集ページに投稿してTOPページでも目立つフォトギャラリー部分にリンクを張ることにしました。
一番上の横長画像は制作途中の4種の動物チャームで猫もあったのでフォトギャラリーで使いました。
このチャームは後日ペンダントやリングにしてHPで公開する予定です。
まとめ
猫の結婚指輪については以上です。
今回の指輪を作った事で平面と立体、ポーズを変えることで幅3㎜に収めるという制約でデザインしても、色々と提案できることが分かったので他の動物でオーダーがあった場合も臨機応変に対応したいと思います。
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