【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】

マリッジリングの基本デザイン　パターンに麦の穂をモチーフにした指輪を追加しました。このブログではこの指輪をホームページで公開するまでを書いていきます。

デザインを考える

画像は以前にWORKSにページに投稿した指輪画像でWheat（ウィート）は小麦のことで西洋では聖書にも登場する特別な意味のある植物でジュエリーのモチーフとしてよく見かけます。
 

一つの麦の絵を描いて2種類のデザインを作ってみました。この麦の穂をモチーフにしている理由は指輪のページで書く事とご来店したお客様に説明できるようにある程度まで調べておきます。

聖書ではヨハネによる福音書12章24節にある「一粒の麦は、落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」というキリストの言葉として麦が登場します。

この「他人を幸福にするために自らを犠牲にする人や行為」を意味する「一粒の麦」という言葉は有名で検索すると映画や施設や団体、焼酎など色々なところで使われています。

キリストは十字架に磔となる前夜に 12人の弟子を集めた最後の晩餐では弟子たちに向かって、食卓にあったパンを自身の肉体として、ワインを血として 弟子たちに与えたことから イエスの死後、血と肉の代わりにパンを食べ、葡萄酒を飲むことで、信仰を固める行為である「ミサ祭儀」が行われるようになりました。このことからキリスト教ではパンの原料である麦だけでなく、ワインの原料である葡萄も特別な植物なので指輪のモチーフとしてよく用いられます。

麦模様の指輪の名前を付けるために英語で調べると麦はWHEATで細かく言えば、小麦はWHEAT、大麦はBARLEY、ライ麦はRYE、燕麦はOATSと分けられるようです。

小麦と大麦でどう違うのかもわからなかったので調べると麦はイネ科に属する植物で世界中で一番多く作られている穀物で小麦、大麦、ライ麦などの種類があり、大麦と小麦の見た目の違いは穂のヒゲの長さで食品として最大の違いはグルテンというタンパク質の有無で含んでいる小麦はパン、うどん、パスタなど、含んでいな大麦はビールなどに使われます。

以上の内容を後で指輪ページでお客様向けにまとめます。

植物モチーフの結婚指輪としては月桂樹、唐草、ハワイアンに続く4つ目になります。

この他の植物モチーフでは「桜」は日本の結婚指輪の模様ではよく見かけますが、基本デザインのヒストリカルがヨーロッパのデザインで、和テイストを混ぜるとホームページ内で統一感がなくなりそうなのでサンプルは作っていません。

そういった理由で稲穂(RICE PLANT/EAR OF RICE)もアイコンで検索すると麦の穂とほぼ同じデザインだったのですが、作ったサンプルの名前はwheat（ウィート）にしました。

原型データを作る

指輪の作り方を最初から説明すると、まずはNET上で麦の穂の画像を集めてきます。

どれを参考にするか比較して決めたいので自然物だけでなく、イラストやアイコン化された画像を海外サイトも見ながら集めます。

麦の穂は英語でWHEATなので海外サイトの場合は「WHEAT RING」で画像検索すれば麦の穂模様の指輪画像も見ることができます。

麦の穂モチーフの指輪はここでは画像を出しませんが
・地金やWAXを削ったような具象タイプ
・指輪の表面に麦の穂柄を手彫りかレーザー刻印
というデザインが多かったです。

模様の指輪サンプルは幅3㎜で作っています。画像左側から右側に向かって制作手順になっていて左右対称の葉っぱ型のスケッチをして先端を少し尖らせます。次に3枚の葉を左隅のように並べて重なるように等間隔で配置して、不要な部分をトリミング、穂の根本から先端にかけて細くテーパーさせました。他には穂の先端に髭のような突起の芒(のぎ)を入れるアイデアもありましたが試してみるとイマイチだったので止めました。それから穂先だけを指輪の表面で繰り返しさせるデザインだと一見、麦の穂だとわかりにくい事と茎の部分だけだと指輪にした時の両脇の隙間が寂しくなると感じました。

そこで画像のような穂と草の部分を束ねたアイコンを参考に原型を作りました。3㎜幅の長方形で囲ってみると茎の部分だけの時よりもデザインのバランスも良くなりました。

以前に作った原型データでその時は今回作ったサンプルと幅広リングに合う麦の穂が風に揺らいでいる様なカーブさせたデザインも作りました。

手前は幅5㎜、奥が幅3㎜です。

表面の模様ができたら高さを出してカーブさせます。

あとは平甲丸のリングに麦の穂パーツを乗せて合体させて指輪のデータは完成です。

写真の指輪はサイズ16号で模様としては穂先から縛ってある茎の部分までが1つの模様なので指輪全体では同じモチーフが3つしか入りません。

ご注文があった場合、指輪サイズは茎の部分か穂のパーツを1列減らすことで調整する予定です。

指輪の制作

樹脂造形からゴム型取り、WAXパターンという工程を経て真鍮になって指輪が鋳造から上がってきました。

結婚指輪サンプル用に仕上げて、

金色と銀色のメッキをして完成です。

HPで公開

指輪が完成したら他の結婚指輪と同じように左側に銀色、右側に金色の指輪を配置した写真をアイキャッチ画像にして基本デザインパターンに名前はWheat（ウィート）で追加します。

金額は幅3㎜で作った場合1本12万円です。

まとめ

前回の編み込み模様に続いて麦の穂模様の指輪が出来上がりました。

麦は聖書にも登場する意味のある植物であるだけでなく、パンやビールの原料でもあるので職業的に関係がある人にも興味を持ってもらえるのではないかと思います。

次は山脈模様リングについて書いていきます。