【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
新型コロナウィルスの影響で日本政府は2020年4月7日、新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言を発令して国民に不要不急の外出を控えるように(外出の自粛)要請しています。
それと合わせて病院、診療所、薬局や卸売市場、食料品売場、コンビニエンスストアなど「社会生活を維持する上で必要な施設」以外は休業要請がされて、2020年4月11日~5月7日まで集団感染の危険がある遊興施設、大学、運動競技施設などは東京都からの休業要請で営業自粛をしています。
生活必需物資の小売関係等以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗は適切な感染防止対策を施した上での営業できることになっていますが、連日、飲食店やホテルなどの売り上げ減による倒産のニュースが報じられ、都内の人出は8割減になるなど日本中が自粛ムードです。
5月4日には5月30日までの延長が発表され、当店の場合は4、5月の丸2か月はおそらく新規のご注文はほぼなさそうなのでこの間に結婚指輪サンプルをまとめて作ることにしました。
このブログでは新型コロナウィルスの影響や現状についての内容を書いていきます。
ホームページで営業時間変更のお知らせ
ニュースなどでは新型コロナウィルスの影響下のことは「コロナ禍(か)」と短く呼ばれるようになりました。
ジュエリーに関係あるところでは百貨店などは休業していますが、「床面積が100平方メートル以下の小規模な店や施設の場合は、感染防止対策を徹底したうえで、営業を継続して構わない」ことになっています。
この時期にブライダルリングのお店のHPを見ると通常営業、休業、時短営業、予約制で営業などに分かれていて、営業している中にはPCやスマホを使った「オンライン接客」という試みを始めているところもあります。
御徒町ではスタッフの安全を守るためやこの期間に感染拡大を防ぐために休業すると東京都から休業保証金※が50万円支給されるのでお休みしているお店も多かったです。※休業等の要請をされている施設を運営する事業者に対する協力金
コロナ禍で休業しても家賃や人件費、水道光熱費など毎月の固定費が高いために「コロナ倒産」を余儀なくされるお店が増えていくといわれています。
このブログはジュエリー職人さん向けに書いていています。これから独立する予定の人、特にブライダルリングメインでの独立を考える人にとっては知りたい話だと思うので改めて説明すると当店の場合は店舗を借りているわけではなく、シェアオフィスと契約をしてラウンジをお客様との打ち合わせスペースとして使っています。サンプルは写真の鍵付きボックスに収納して接客の時にテーブルに並べています。
当初は店舗を借りることも考えていましたが、元手の資本が少なく、銀行からの借り入れも考えていなかったので「事業は小さくスタートして軌道に乗るまでは家賃などの固定費を抑えるほうが良い」という知り合いのアドバイスに従って手作り結婚指輪や既製品を売るお店ではなく、指輪のサンプルと打合せスペースだけ用意すれば済むオーダーメイド専門店にしました。
お店が必ずしも上手くいくとは限らないので
・ご予約の多い土日のみ営業にしてそれ以外の時間は自宅でサンプル制作と充実したHPを作る
・ある程サンプルとHPも完成して軌道に乗っていなかったら平日は他の仕事をする
と、長期戦を覚悟して家賃が安いシェアオフィスを選びました。
オーダーメイドなので仕入れて売る商売と違って在庫も抱える必要もありません。打合せから制作まですべて一人で行っているので人件費もかからず、真鍮にメッキをしたサンプルと打ち合わせスペースのみあれば受注するのに問題はありません。
場所は表参道駅から徒歩5分の好立地でも家賃、サンプルをしまっているロッカーのレンタル代、固定電話番号代といった毎月の固定費も数万円と少なくて済んでいます。
最初はお店の雰囲気もこだわらないといけないと思っていましたが、作りたいものが決まっているお客様はご注文してくれるので今は外装や内装は不可欠な要素ではないと思っています。
最近見たTVである会社の社長さんが「不況でいえば、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、そして今回の新型コロナウィルスの感染拡大と不況は10年に1回はやってくるので会社はそれに対する準備をしておくべき」という事を言っていました。
今回のコロナは現在のところ収束の目途が立っておらず、100年前のスペイン風邪と同じように2年ほどは自粛要請と解除が何度か続くという報道もあります。
ジュエリーのような必需品ではないものを扱う業界は不況になったときに影響を受けやすく、回復するのも最後だといわれています。
店舗でのジュエリー販売など小売りが影響を受けると卸や加工職も影響を受けるので、ダメージが少ないのは店舗での販売に頼らない低~中価格のジュエリーを扱うネットショップ、オンラインストア位と考えると、ブライダルリングのオーダーメイドは
・結婚する人の9割は結婚指輪を購入する
(結婚式は自粛しても指輪は買う)
・貴金属の在庫は持たず、サンプルのみあればOK
(元手が少なくて済む)
・店舗を借りなくても打合せスペースのみで対応可能、
(固定費を抑えることができる)
・サンプルを送ってメールでのやり取りで宅配対応できる
(店頭販売に頼らない)
と、やり方によっては少ない資本でコロナ禍でも継続できる可能性の高いジュエリーの仕事に入るのではないかと思います。
指輪サンプル制作
普段はお客様からのオーダー品を作る合間で結婚指輪のサンプルなどを作っています。
不要不急の外出を控えるように外出自粛要請が出たことでゴールデンウィーク中の都内の人出は普段の80パーセント減とニュースで報じています。おそらくご予約もなさそうなのでホームページを強化する目的で一気にまとめてサンプルを増やすことにしました。約9回に分けてブログに更新していきます。現在は画像の樹脂原型の造形依頼が終わった段階なので多少の変更はあるかもしれません。
WAXパターンになってからそれぞれカットしてワイヤーワックスと合体させて真鍮で鋳造、最後にメッキをして完成と時間もかかるので先にホームページで公開する文章とイラストなどをこの期間で用意しておきます。樹脂原型は腕の模様なし部分はなくして模様部分のみ一つにまとめたことでコストも抑えています。
#061~#067までは結婚指輪サンプルの中で2番手、3番手のデザイン候補だったものやWORKSにCADデータのみ作って公開したものを実際のサンプルにすることにしました。
#068~#070のシンプルマリッジリングは名前の通り、お客様のご希望がどこでも扱っているようなシンプルな結婚指輪をご希望の場合にどんなご提案ができるかという内容でサンプルを作って書いていく予定です。
手順としては時間のかかるサンプルから先に作るので
1、CADデータ制作、樹脂造形依頼
2、地金でできるサンプル制作
3、WAXパターンと鋳造上がりの間にHP用の文章下書き、CADイラストなどの画像を用意
4、WAXパターンをカットしてそれぞれの指輪原型にして真鍮で鋳造依頼
5、真鍮でキャストから上がってきた指輪の仕上げ、メッキ
6、メッキの終わったサンプルの写真撮影、画像修正
7、下書きした文章と用意した画像を使ってホームページで公開
という流れになります。
アマビエのペンダント
コロナ禍の疫病退散グッズとして「アマビエ」をモチーフにした飴や和菓子などがニュースで取り上げられ、SNSへの投稿がちょっとしたブームになっています。アマビエとは日本に伝わる半人半魚の予言をする妖怪で江戸時代末期に熊本県の海に現れて自分の姿に疫病退散の効果があるので描いた絵を人々に見せるように言ったと伝えらえれています。
時間もあるのでSNSなどアマビエの検索からホームぺージへの流入を期待してペンダントのCADデータを作ってみました。縦9㎜、幅6㎜、厚み2㎜で目の部分には直径1㎜のダイヤモンドが入るデザインになっています。
実際に身に着けることも考えて、言われないとアマビエとはわからない所がポイントです。
まとめ
コロナ禍での営業に関してはとりあえずは以上です。数年後、また同じような不況が来た時にどうしていたかなど思い出すためと今後どうするかを考える意味で現状をまとめてみました。ここまで書いた通り、次回からは自粛期間で時間が出来たのでまとめて作っている結婚指輪のサンプルについて解説していきます。
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