【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】

このページでは以前に公開したポイズンリングを作り直してマリッジページで公開するまでをまとめます。
ポイズンリングとは

ポイズンリング(POISON RING)とは16世紀のヨーロッパで流行したアンティークなどに見られる蓋つきの指輪のことで空洞部分に小物を収納することができます。
古代に時の権力者が捕虜になった際にこの指輪の空洞部分に自害するための毒(POISON)を仕込んだ事からこの名前が付きました。
結婚指輪に「毒」という名前は縁起が良くないのでボックス、ロケット、コンパートメント(仕切られた区画/COMPARTMENT)、ストレージ(収納/STORAGE)なども考えましたが、基本デザインヒストリカルに加えて説明することでマイナスイメージは消せるということ、

「ヴィヴィアンウェストウッドのニューオーブポイズンリング」で名称としてポイズンリング自体も認知されているのでそのままにすることにしました。
原型制作




前回作った印台タイプは指輪本体はWAXで蓋の部分はシルバーの地金板から作りました。

この結婚指輪ではCADを使って月型甲丸タイプを作っていきます。
蓋の部分はニューオーブポイズンリングのような金具を付けた開閉式も考えましたが、蓋を指輪本体と同色、違う色など取り換えできるほうがデザインとして面白いのでイラストのように作っていきます。


蓋は表面からだけでなく、裏面から取り外しできるタイプも作ります。
これで表の蓋を取り外せる指輪はWAXパターンで裏蓋をくっ付けて鋳造、反対にこれで裏蓋を取り外せる指輪はWAXパターンで表蓋をくっつけて鋳造すれば指輪の原型は一つで済みます。


CADデータ上は蓋が2種類で穴の開いた指輪を一緒に作って合体させて一つの指輪として作ることにしました。
こちらが完成した指輪と蓋の原型データです。
蓋2つを一つの指輪に取り付けて原型代を抑えます。
指輪と蓋を一つにした3パターンの原型データを作り、樹脂造形屋さんに相談に行って造形しやすい形で依頼をします。

相談してみると蓋と指輪を一つにした状態ではゴム切りが難しいとのことなので、指輪と蓋は別々に樹脂造形してゴム型を取ることにしました。


こちらが出来上がった状態です。

写真のようにWAXパターンの状態で表か裏の蓋を埋めて鋳造に出します。
蓋を嵌めるのもCADで作ってあるのでピタッとハマりました。
鋳造上がり

鋳造から上がってきたら仕上げをしていきます。

まずは結婚指輪用に金とロジウムでメッキをする真鍮タイプを作ります。
収納する内側は仕上げが難しいのでダイヤモンドポイントで削って荒らし仕上げにします。

真鍮の表蓋ポイズンリング2本ができたらそれぞれロジウムメッキと18金メッキをしてあとで結婚指輪のページに投稿します。


蓋を銀で作ったコンビリングも作業は同じです。


外蓋と内蓋が外せる2つのポイズンリングが出来上がりました。
内蓋に関しては左右の凹みに爪をひっかけて簡単に外すことができます。
イラストを作る

CADデータを使ってイラストも作っておきます。
ダークグレーの背景は画像のように2色で外し方は2種類選べるイラストにしました。

ライトグレーの背景は斜めからでどう外れるかがわかりやすいイラストにしました。
結婚指輪ページに投稿する

指輪が完成したら文章を考えてマリッジページに追加します。
文章としてはまずメッキをした単色の指輪を使って、ポイズンリングとはどういう指輪かという歴史と昔の人が指輪の小さい空間に何を入れていたかを調べて書きました。

外蓋と内蓋の指輪の写真を使って蓋をもう一つ作ることでコンビリングが作れること、蓋を内側につける秘密の収納タイプにもできることを書きます。
画像修正で真鍮はメッキをした色に変えました。
さらにワークスで作った印台タイプの画像も使って月形甲丸以外の形や収納部分の寸法も調整できることを書いて終わりです。
まとめ

ヴィヴィアンウエストウッドのニューオーブポイズンリングという指輪も有名になってマイナスイメージだけではないので名前も変えずに「ポイズン(毒)」で結婚指輪ページに加えることにしました。
ポイズンリングのオーダーでは幅が8㎜からで収納部分の高さが5㎜からが最小サイズになります。
サンプルは収納ができて結婚指輪として違和感のない形とサイズを考えて月形甲丸にしました。
蓋の部分に金具を付けて開閉式にするかどうかも迷うところでしたが、蓋の部分を指輪と同じ金種と違う金種を選べるほうがデザインのアクセントになりそうなので最終的に写真のような指輪に決めました。
金額に関してはまだ未定で料金表にも載せていませんが、蓋の空洞部分は安くすることを考えて指輪代は基本料10万円+特殊加工ポイズンリング¥30000+重量(¥10,000/g)でパーツ部分を追加の場合は仕上げ加工こみでジョイントと同じ3万円にする予定です。
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