ジュエルクラフト東京

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オーダーメイドの指輪を
作る過程#013
オリジナル空枠①

「オーダーメイドの指輪を作る過程#012」までで

・パーツのオーダー事例
・ポイズンリング、ベビーリング
・指の関節が出ている人向けの指輪

のサンプルが完成しました。

他にホームページで何が足りないかを考えます。

 

オーダー指輪 エンゲージ
婚約指輪 TOP画像2
婚約指輪 TOP画像4

エンゲージリングは石座と腕の組合せで多数のパターンを作ることができますが、お店のオリジナルと言えるようなデザインが用意してありません。

それから色石を使った指輪もまだサンプルが少ないのでリフォームでも使えるようなお客様の目を引くようなデザインを考えます。

婚約指輪やリフォーム枠などで中石が留まっていない枠は「空枠(からわく)」と呼ばれます。

オリジナルリング(ギメルシグネット)や指の関節が出た人向けの指輪JOINTのように他では見かけないデザインの「オリジナル空枠」を考えます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-2
通常のエンゲージリングでは石座と腕のデザインを分けて考えますが、写真のような一体型になった指輪も形としては定番で人気があります。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-3

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-4
1枚の地金板を丸めて覆輪石座部分を大きめ(長め)にしたフリーサイズリングを作り、

・原型は一つで真鍮で鋳造、石の形に合わせて変形させる

・正面から見たときに宝石も垂直ではなく斜めに留める

・色がグラデーションになるように違うカットを選ぶ

というようなサンプルを作ることにしました。

地金の1枚板から作る無駄を省いたシンプルな形状なので流行遅れにもならず、彫り留めやテクスチャーの変更でオリジナリティも出すことができて、原型は一つなのでコストも抑えてサンプル制作ができます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-2
下段の写真のような埋め込みも考えましたが、実際にご注文があった場合、地金が重くなり価格が高くなるので今回は上段のような宝石に地金が巻き付くような空枠を作ることにしました。

 

デザインを考える

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-1
サンプル用の宝石は写真のような緑、青など寒色系の7石を用意しました。

 

オーダーメイド シトリン ジュエリー14
1つの原型でどんなカットの宝石でも対応できるリフォーム枠のようなイメージを伝えたいので石座のオーダーメイドで使ったシトリンのようなイレギュラーカットを使います。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-5
6石は学生時代に作った指輪があったので枠から外して使いました。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-6
原型制作では素材はシルバーで板を丸めたフリーサイズリング、既成のオーバル石座を用意します。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-7
写真のようにオーバル石座を広げてフリーサイズリングと溶接します。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-8
原型ができあがったらゴム型を取って真鍮で鋳造します。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-9
出来上がった真鍮の指輪をそれぞれの宝石に合わせて曲げていきます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-10
石の形に合わせて座巻きをした指輪は腕の長さを調整して石座にロー付けします。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-11
ロー付けで地金が変色するので石留め前にサンドペーパーで全体を磨いておきます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-13
石座の準備が終わったら宝石を留めていきます。

石座が小さい場合は鏨で叩いて伸ばし、微調整して宝石が留めるように形を変形させていきます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-14
宝石は正面から見たときに少し傾けて動きが出るデザインにしました。

仕上げたらロジウムメッキをして完成です。

 

名前を考える

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-15
ワークスに投稿してエンゲージリングのページにお店のオリジナルとしてリンクを張るので指輪の名前を決めます。

 

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-2
よく見る形なのでジュエリーの用語辞典で「石座と腕が一体化した指輪」は名前が出ているかもしれないと思い、調べましたがありませんでした。

石座と腕が「一体化」しているのでunite、cooperate、integrate、 fusionなど「合体、融合、統合、まとめる」などの言葉を名前を候補にして

腕は抱き腕、包み込む形なので英語で「包み込む」を調べるとenfold、enwrap、wrap、enclose、envelop、「抱きしめる」ではhug、bosom、embrace、squeezeといった言葉が見つかりました。

enfoldは「抱く、抱える、(…を)抱く、(…に)くるむ、(…で)包む」という意味で中石ダイヤモンドと指を包み込む形がデザインと合っているのでこの言葉を指輪の名前にすることにしました。

ちなみに一文字違いで紛らわしいですが、「hold」は一時的に保持する(Keep)の意味で「fold」は折る、折りたたむなどの意味があるそうです。

 

まとめ

オーダー婚約指輪/リフォーム枠1-18
一枚板を丸めて指輪にして宝石の形に合わせて石座を巻くことで原型を一つにしたリフォーム枠サンプルを作りました。

頭の中では上手くいくと思っていましたが、実際にサンプルを作ってみた結果、地金になってから石留めまでの工程で曲げたときに角が丸くなる、一部爪が薄いなど地金になってしまうと微調整が難しいことに気が付きました。

ご依頼があった場合は1つの原型で対応するよりも最初から作りなおしたほうが良さそうだとわかりました。

それから中石に地金のみだとオリジナル空枠というには寂しく、ダイヤモンドのメレ石もあったほうがいいので今回の手作り枠は試作品ということにしてCADで原型を作り直すことにしました。

次のオリジナル空枠2ではその流れを書いていきます。