エングレービッシュはEngraving(彫り)に~風という意味の-ishを合わせた造語です。
昔からある地金に手彫りをするのではなく、デジタル技法を使い、CAD原型に手彫り風の模様を入れています。
地金の指輪に図柄などを彫る方法は
レーザー彫りと手彫りの2つがあります。
左上の世界地図模様はレーザーで彫るので
溝の部分は垂直に凹みます。
それに対して手彫りは鏨(タガネ)と呼ばれる刃物で
地金表面を削るので溝の部分はV字になります。
同じ模様でも比較すると
レーザー彫りの溝は艶消しでスッキリとした印象、
手彫りの溝は鏡面で立体的な印象になります。
写真の指輪は
通常は地金の指輪にレーザー刻印で入れる模様を
CADと呼ばれるデジタル技法で樹脂原型の段階で
模様を入れています。
原型の段階で模様を入れておくことで
レーザー刻印と違い、追加料金もかかりません。
オリジナル模様を作る場合は事前に
完成形を3Dで確認ができる点も
レーザー、手彫りとの違いです。
ご自身で模様を描きたい方向けに
記入用紙もご用意しています。
従来の手彫りと見た目はほぼ変わらず、
金額を抑えて・完成形を3Dで確認できることが
このエングレービッシュの特徴です。
レーザー刻印風と同様に
デジタル技法を使い、
・月桂樹模様 2種
・麦の穂模様
・ハワイアン模様
・麻の葉模様
・彫り留め
の6種類の見本リングを作りました。幅は3㎜です。
1、月桂樹模様①
タガネと呼ばれる刃物で月桂樹の模様を彫った結婚指輪は古くから存在します。
この定番と言える模様を現代のデジタル技法で再現しました。
この月桂樹模様は甲丸リングに本物のタガネで彫ったような溝を付けるだけでなく、手作業では難しい均一性を持たせています。
月桂樹彫りでは組み合わされることが多い、両側のミルグレイン、葉の根本の実も付けるアレンジもお勧めです。
月桂冠(ゲッケイカン)のように中心に宝石を留めて月桂樹模様を左右対称に彫るデザインも定番の一つになっています。
2、月桂樹模様②
古くからある月桂樹彫りの指輪に対して、この指輪は現代風に見えるように模様を記号風に簡略化、最小限の彫りで月桂樹ということが伝わるようにしました。
この指輪も宝石を留めるなら左右対称に彫るデザインがおすすめです。
3、麦の穂模様
麦は西洋では聖書にも登場する特別な意味がある植物です。
この麦の穂を風に揺れるイメージでカーブさせ、間隔を空けて並べてました。
宝石を留めるなら画像のように模様を反転させて対称性を持たせるとバランスの良いデザインになります。
この麦の穂は真っすぐなままの膨らみ模様もご用意しています。
4、ハワイアン模様
ハワイアンジュエリーは自然をモチーフにした模様が特徴で、その中から定番のハイビスカスとスクロールを選びました。溝もタガネ彫り風にV字溝にしています。
通常のハワイアンジュエリーはモチーフの輪郭以外にもビッシリ細かい彫りを入れますが、モチーフの輪郭が分かりやすいようにあえて細かい彫り模様は入れずにスッキリさせました。
5、麻の葉模様
麻の葉模様(文様)は
着物などに使われる日本の伝統的な文様で
正六角形を基調とした幾何学柄です。
形が麻の葉に似ていることから、
この名前が付けられたと言われています。
1本では分かりにくいですが、2本を上下に重ねると
正六角形が現れて麻の葉文様であることが
よりハッキリと分かるようになっています。
6、彫り留め
タガネを使って地金を彫り起こし宝石を留める技法を彫り留めと言います。
CADで原型に彫り起こし模様を付けておくことで通常の彫り留めの半額で石を留めることができます。
写真の指輪は幅3㎜で宝石は直径1㎜、8種類の彫り留めを金色と銀色でそれぞれ鏡面と艶消しの2種類をご用意しています。