結婚指輪として龍の模様が入ったPt950とK18YGのコンビリングをお作りしました。
龍は頭に角と髭、蛇の体に4本足を持つと言われる伝説上の生き物で、干支の中で最も縁起が良いとされています。
写真のようにメンズは外側、レディースは内側のプラチナ部分に龍模様がお互いの方を向くように入っています。
幅は4㎜、表面の仕上げは艶消しの槌目で、2色の繋ぎ目部分を斜めにしたハーフコンビリングです。
指に着ける正面の向きを変えて①半分、②白色、③金色の3つを楽しむことができます。
内石は直径1.5㎜のお二人の誕生石、ペリドットとサファイアを後光留めで入れてあります。
レディース指輪の内側半分に龍模様が入るので、刻印は2段にしました。
今回も特典として制作過程で出来た原型などは木箱に入れてお渡ししています。
指輪のデザインを決める
指輪が完成するまでの流れですが、お客様は何を作るかは決めずにご来店でした。
サンプルを見ながら打ち合わせをしていて、新郎様から画像のクラダリングのような雰囲気で龍模様の結婚指輪にできるかのご相談があり、ピンタレストというサイトからイメージに近い龍のイラストを選んでいただいて、模様リングを作ることになりました。
ご希望の龍は西洋のドラゴンというよりも蛇のような胴体をした干支や中華風の龍でした。
いくつかの龍のイラストを比較しながら角、髭、手、尻尾のフサフサはアリ、目はナシといった細かいご希望を聞いて、
画像のような簡単なイラストとお見積りを作りました。
・繋ぎ目は斜めのPTとK18YGコンビリング
・PT側に龍模様でメンズは外側、レディースは内側
・仕上げは槌目の艶消し
・幅4㎜
という大枠のデザインが決まり、まずは金額が問題なければ、龍模様を作るという形で進みました。
その後、正式なご依頼となったので、CADを使って龍の模様を何パターンか作りました。
打ち合わせ時に決めた角、髭、手、尻尾のフサフサはあり、目は無しといったご希望の条件を満たす模様を作っていきます。
まずは
・頭、手足、尻尾のフチ取り→有・無し
・背びれ→有・無し
の組み合わせで1~4番の龍模様を作りました。
(黒く塗りつぶした部分が凹みます。)
追加料金がかかりますが、レーザー刻印なら5番のような細かい模様も可能なので一緒にご提案しました。
その後、選んでいただいた4番の模様を改良して
メンズはAかBの2択、
レディース※はA1~B2の4択から
1つを選んでいただきました。
※レディースのAは
メンズと胴体のカーブが同じ、
レディースのBは
メンズと手足の位置が同じ(カーブが狭い)
となっています。
模様が決まったら指輪の原型データ制作を行います。
この龍模様のメールでのやり取りと並行して、リングサイズ、刻印なども決めてもらっていました。
レディースの内側龍模様はメンズと正面デザインを合わせるため、斜めの繋ぎ目と一緒に反転させています。
刻印は1列で入れると文字が小さくなるので、バランスを考え、左側に誕生石を後光留め、その右側に2段に分けて入れることになりました。
指輪を作る
模様、リングサイズ、刻印も決まったので、原型データを作っていきます。
平面の状態でプラチナ側には龍模様の凹み、K18側には後光留めの石座を作っておきます。
プラチナと18金の繋ぎ目には差し込み用の凸凹を作っておきます。この凸凹あることで2つの素材を溶接するときにズレるのを防ぐことができます。
お客様に確認していただく原型データは内側の状態も見えるようにしてお送りしました。
原型データにOKが出たら樹脂原型の造形、お客様の確認作業を経て、完成まで進みます。
2本の指輪の原型は画像のように4つのパーツをひとつにまとめた状態でゴム型を取りました。
この後、宅配で樹脂原型の確認をしていただいて、戻ってきたら納期が確定します。
樹脂原型のゴム型を取って、WAXパターンを取り出し、カットしてそれぞれの地金で鋳造、
凸凹部分を差し込んで溶接、サイズ出しをします。
全体に艶消しの槌目仕上げをして、
刻印を入れたら完成です。
指輪のお渡し
こちらがご納品セット一式です。
ご納品時には特典のフォトブック用に撮影も行います。
最近は室内だけでなく、屋上での記念撮影もして写りの良い方をフォトブックに入れるようにしています。
今回は恰好良い龍模様を作るのに①画像をたくさん集めて②何パターンもスケッチして③比較画像でご提案と大分試行錯誤しました。
その甲斐あって、ご納品時にはとても喜んでいただけました。
ちなみにご提案したレーザー用の細かい龍模様はそのままお蔵入りはもったいないので、CADで作った龍模様との比較用に写真のようなサンプルリングにしました。