

指輪の制作方法は大きく分けると
1、鍛造(たんぞう)
2、WAX原型/鋳造(ちゅうぞう)
3、シルバー原型/鋳造
4、CAD・樹脂原型/鋳造
の4つがあります。




簡単に説明すると
1、鍛造(たんぞう)は地金の塊をローラーで伸ばして、
ヤスリやバーナーを使って指輪を作る方法で、
2、WAX原型/鋳造(ちゅうぞう)はワックスと呼ばれる
ローソク状の塊を削って指輪の原型を作り、
石膏(せっこう)で型を取って
溶けた地金を流し込んで冷やし固める方法です。




3、シルバー原型/鋳造は
安価な地金で原型を作ってから、
4、CAD・樹脂原型/鋳造は
PC上で指輪のデータを作って
3Dプリンターで樹脂原型を造形してから
金やプラチナで鋳造をします。
シルバー原型/鋳造とCAD・樹脂原型/鋳造は
原型からワックスを取り出すのに
ゴム型というものが必要になります。
当店では制作するデザインによって
以上の4つの作り方を使い分けています。
4つの制作方法で作ることができる指輪


結婚指輪のオーダーメイドでは
指輪の①幅 ②素材 ③仕上げ(テクスチャー)
④石留め ⑤刻印 ⑥基本デザイン(形状)を
順番に選ぶことで
好きなデザインを絞り込むことができます。
この中で形状を決める選択肢の
「基本デザイン」は
1、STANDARD (スタンダード)
2、TWIST (ツイスト)
3、HISTORICAL (ヒストリカル)
4、PATTERN (パターン)
の4つのカテゴリに分類しています。
※例外のその他あり




4つの「基本デザイン」はそれぞれ
1、STANDARD (スタンダード)
→ 半円、四角、三角、台形など
断面形状で名前がついている指輪
2、TWIST (ツイスト)
→ 平面の板を捻ってから丸めることで
膨らみと凹みが生まれる立体的な形状の指輪
3、HISTORICAL (ヒストリカル)
→ 歴史の篩(ふる)いにかけられ、
今に残っているアンティーク風の指輪
4、PATTERN (パターン)
→ 植物、多角形、幾何学模様などが
一周、もしくは表面の一部に入った指輪
という風に分けています。
制作方法とその違いで
どんな指輪を作ることができるのかを説明するために
この4つの基本デザインと制作技法を組み合わせ、
加工とオーダーの流れが分かるサンプルを作りました。
1、鍛造 × STANDARD




鍛造(たんぞう)とは
貴金属の地金を直接加工する
紀元前からある伝統的な指輪の作り方です。
具体的には溶かした地金の塊を
金槌やローラーで伸ばして、
糸鋸で地金板の長さを調整、
ヤットコで地金板を曲げて円形にしたら
地金板の先端同士をバーナーで溶接、
芯金に入れて真円とサイズを出して
ヤスリで成形していく作り方です。
職人が1つ1つ丁寧に作っていくので、
手作りや一品物製作とも呼ばれます。
写真の指輪は甲丸リングをベースに
同じ素材を使った「交換」をテーマにして
色の違う地金板を半分ずつ取り替えて作りました。
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2、WAX原型/鋳造 × HISTORICAL




WAX原型/鋳造(ちゅうぞう)はロウソク状の塊を削って原型を作り、石膏で型を取り、その空洞に溶かした地金を流し込む作り方です。
加工しやすいので鍛造では難しいデザインも制作可能で、具体的には
1、ワックス原型に同素材の湯道を立て、ゴム台に固定
2、ゴム台に鉄筒を被せて、石膏(せっこう)を流す
3、石膏が固まったら反転させ、
電気炉の中に入れて加熱させ、
湯道部分からワックスが流れ出て空洞ができる
4、指輪型の空洞部分に溶けた地金を流し込む
5、地金が冷え固まったら、
石膏を壊して地金の指輪を取り出す
6、湯道部分を指輪の根本でカット
という工程を経て出来た指輪を仕上げて完成させます。
写真の指輪は同じWAXの塊から削り出した印台リングの正面に「指紋」という世界に2つとない模様を入れました。
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3、シルバー原型/鋳造 × TWIST




この技法は銀や真鍮など比較的安価な金属で原型を作り、ゴム型を取って、そこからWAXパターンを取り出して貴金属で鋳造する作り方です。
鍛造と鋳造を合わせた作り方で原型確認をすることができます。具体的には
1、鋳造と同じように原型に湯道を立てる
2、原型を専用の箱の中に収めてゴムを流し込む
3、冷え固まったゴム型を切って、原型を取り出す
4、原型の空洞が出来たゴム型を1つに戻す
5、溶けたワックスをゴム型の空洞に流し込む
6、ゴム型から固まったワックスリングを取り出す
という工程を経て、鋳造作業へと進みます。
写真の指輪は
距離(幅)を変えて180度捻ったシルバーと真鍮板から
「メビウスの輪」の指輪原型を作りました。
この2本の指輪原型を溶接して
上から見たときに無限大(∞)の状態で型を取り、
鋳造後にこの「双子」のようになった指輪を
分割して仕上げています。
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4、CAD・樹脂原型/鋳造 × PATTERN




人間の手では難しい複雑で細かいデザインを
精密に作ることができる最先端の技法です。
パソコン上で指輪のデータを作り、
3Dプリンターで樹脂原型を造形、
あとはシルバー原型/鋳造と同じように
ゴム型からWAXパターンを取り出して
貴金属で鋳造する方法です。
原型データは立体なので、パソコン上でお好きな角度から形状の確認が可能です。
手書きのデザイン画と手作業で作った原型の確認と違い、データそのままの形が3Dプリンターで造形されるので出来上がりとのイメージの違いを防ぐことができます。
写真の指輪は
記念日と名前を模様として一周入れた原型データを
3Dプリンターで造形、鋳造後に分割しました。
一見模様にしか見えない2本の指輪を上下に重ねると
隠れたメッセージが現れる仕組みになっています。
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オーダーメイドでの制作方法




現在、オーダーメイドでは
・人の手では難しい細かいデザインが制作可能
・デザイン画から原型ができるまでの時間が短い
・PC上で好きな角度から形状の確認が出来るので、
出来上がりとのイメージの誤差がない
・原型修正が簡単で早い
といった理由で主にCAD・樹脂原型/鋳造で
制作を行っています。
セルフメイドでの制作方法




セルフメイド(手作り指輪体験)では
鍛造でのみで制作を行っています。
デザインはシンプルな形に限定されますが、
・WAXに比べて専用工具を多数使えるので楽しい
・加工工程が多いので、良い写真が多数撮れる
・作った当日にお渡しできる
・他の3つの制作技法と違い、型取りをしないので、
指輪に想いを込められる
という理由で鍛造だけに絞りました。
制作方法で指輪に「意味」を持たせる


4種類の制作方法を生かして
同じ原型や同じ型からとった貴金属を
交換、分割するといった「意味」を持たせることで
シンプルな形でもお二人にとって
特別な結婚指輪を作ることができます。
納期、値段、デザインやサンプルを確認したい場合など
ご希望によって変えることもできます。




写真の指輪は4、CAD・樹脂原型/鋳造で作りました。
2本の指輪を1つの原型にまとめることで
基本料金を抑えているだけでなく、
「双子」の状態で生まれたプラチナの指輪を
お二人で分けて身に着けているという意味を
持たせています。




写真の指輪も制作方法はCAD・樹脂原型/鋳造です。
メンズはプラチナ、レディースは本体は18金、
正面のハート部分はプラチナのコンビリングです。
原型は同じで、WAXの状態で2つに分割して
それぞれプラチナと金で鋳造しました。
この時にハート部分はメンズに付けて置き、
プラチナになってから切り取って
レディースの指輪に取り付けることで、
男性から女性にハートを贈るという
意味を持たせました。




3、シルバー原型/鋳造
4、CAD・樹脂原型/鋳造
の2つは原型、ゴム型、WAXパターンの3つを
制作の記念として木箱に入れてお渡ししています。
万が一、指輪を紛失した際には
この3つをお持ちいただけると
最初のオーダー時よりも安く
同じ形を作ることができます。