【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
お客様から
1、カルティエのディアマン レジェやティファニーのバイザヤードのようなペンダントを作りたい
2、予算が合えばセットで使えるピアスも作りたい
というご相談をいただいて写真のセットジュエリーをお作りしました。
こういったハイブランドと同じデザインを
・価格を抑えたい
・廃版で売ってない
・デザインを一部変更したい
という理由でオーダーメイドしたいというご依頼は多いです。
今回は写真のペンダントとピアスをセットジュエリーとして作ったのでその流れを
1、打ち合わせとお見積り
2、制作とご納品
の2回に分けて書いていきます。
打合せ
ご来店していただいたお客様から、まずは0.25ct~0.3ctのダイヤモンドでペンダントを作りたいというご相談を受けました。
業者登録しているダイヤモンドのWEBサイトがあるのでパソコンを使って4Cなどのグレードを説明しながらお客様と一緒に見ていきます
画像のように4Cや(カラー・カット・クラリティー・キャラット)価格帯を選択することで希望のダイヤモンドを絞り込み検索することができます。
ただ、絞り込みをしてみると0.25ct~0.3ct代は在庫が少なかったのでお客様にはペンダントにするダイヤモンドの最低グレードだけ決めてもらい、後日メールでご連絡しますと伝えました。
ペンダントのお見積り
NETで0.25ct~0.3ctは思ったより在庫がなかったので御徒町まで探しに行きました。
ご希望のグレードと大きさでいいものをこちらで選別して候補を7つに絞りました。
前回の打ち合わせでダイヤモンドについて説明したのでダイヤモンド単体の価格と枠とダイヤを足した価格の2つを一覧でまとめておきます。
石座の価格
石座の形に関しては画像左側のカルティエタイプだとオーダーメイド、画像右側のティファニータイプであれば0.3ct用のK18PG既成枠を仕入れて丸カンを溶接すれば作ることができます。
カルティエのディアマン レジェタイプだとオーダーメイドです。
難しいデザインではないのでCADで丸カン付き石座のデータを作り、原型を造形となります。
本来はパーツのオーダーメイドになるので基本料30000円+地金代ですが、
1、18金はプラチナと違いゴム型不要の直接鋳造ができる樹脂原型を使える
2、ダイヤモンドもこちらでご用意(ダイヤモンドの価格には鑑定書代、鑑定書を取る代行手数用、お店の利益も足しています。)
なので今回はサービスでティファニーのバイザヤードタイプと同額で作る予定でした。
鑑定書を取り直す
お客様から①のダイヤモンドがいいと連絡があったので仕入れ先に取り置きをお願いします。
仕入れた0.3ctのダイヤモンドにはソーティングという簡易鑑定書がついてきます。
ソーティングと同じ鑑定機関の中央研、中央宝石研究所というところから発行されているので持ち込んで正式な鑑定書を取り直します。
鑑定機関はこの中央研とAGTの2つが大手百貨店なども使われていて宝石業界でも信頼されていて有名です。
信頼される理由はいろいろありますが鑑定結果が正確=厳しいからです。
買取の際もこの2つの鑑定書があると信頼されますが他の鑑定機関のものだと査定額が安くなることが一般的です。
ダイヤモンドが決まればアザースのページの料金表を使って材料代と加工代を足した合計金額を計算します。
ペンダントの価格は決まったので次はピアスのお見積りを出します。
ピアスのお見積り
まずは、お客様のご希望デザインの画像をインターネットで探します。
お客様の第一希望は画像のような4石タイプでした。
正規の販売店は寸法をそこまで詳しく書きませんが、中古販売店でサイズがわかるようにカルティエのピアスを定規と並べている画像がありました。
この画像でおそらくダイヤモンドは直径3.5㎜×2、3.0㎜×4、2.8㎜×2位の大きさで制作してると想定して金額を出します。
これで計算してみると予算からかなりオーバーすることが分かりました。
そこでご希望のデザインでダイヤモンドは中、小、中、大という順番で並んでいますが、この小(直径2.8)より一回り小さい直径2.5㎜(0.05ct)で作る方法を考えました。
画像は完成までにご提案したデザイン一覧です。この画像の一番左になります。
ピアスの石座はすべて同じ大きさで両側に丸カンがついた原型を作り、ピアス金具と溶接する石座はWAXパターンの時に下穴に板張りで鋳造、地金になってから地金のポストを立てます。
既成の石座に丸カンを溶接するより最初から石座に丸カンを取り付けておいてチェーンを通してから口閉じ溶接のほうが加工が楽なので溶接代も安くできます。
既成のK18PG石座で丸カン付きの0.05ct用はなかったので原型を作る方法で考えました。
この原型も既成のシルバー石座と丸カンを溶接するだけなのでパーツのオーダー代も取りません。
シルバーの材料とゴム型代はピンクゴールドの石座代に足して計算します。
こちらは完成までにご提案したデザインです。
ここまで出来たら金額の計算をします。
金額は合計だけでなく材料代と加工代の内訳を書いてどうしてその金額なのかわかるようにします。
その後、お客様のご希望でダイヤモンドの数や大きさ、チェーンの長さを変えたお見積りを出しました。
画像のようにダイヤモンド価格一覧も添付してどうしてその合計金額になるのかもわかるようにします。
今回はご予算内で収まりそうなデザインの場合はダイヤモンドを通常グレードとVSハートキュー(ブライダルグレード)の2パターンでお見積りを出しました。
ダイヤの大きさによって1ct当たりの金額が変わるのでお見積りにはその価格も載せておきます。
宝石の大きさはお客様にわかりやすいように重さではなく直径で書いています。
後日、お客様からご返信があり、ピアスは写真の3石タイプで作ることになりました。
石座はペンダント、ピアスともにカルティエのディアマン レジェタイプでのご依頼となりました。
次のPGネックレス&ピアス②では実際の制作の流れを説明していきます。
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