【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
#001 パーツのオーダーで料金表や事例を作りました。
パーツのオーダーではお持ち込みの宝石に合わせた石座や地金チャームなどのご依頼を想定しています。
そこで#003 石座のオーダーでは既成枠では対応できないイレギュラーカット石のペンダントネックレスと指輪を作り、
#004 メレダイヤを使ったパーツでは雪の結晶をモチーフにしたペンダントネックレスと指輪を作りました。
他にご依頼が来そうなものを考えて次はベビーリングのサンプルも作っておきます。
ベビーリングとは
NET検索だとベビーリングの専門サイトなどもあり、出産祝いとして定着しているようですが、ベビーリング自体を知らない人も多いのでその説明文も考えます。
ヨーロッパでは持つと食べることに一生困らないという言い伝えで出産祝いに銀のスプーンを贈る習慣があります。
この習慣は16世紀ごろから始まったと言われていて、そこから派生してベビーリングが生まれ、出産祝いとして日本でも広く知られるようになりました。
なのでデザインでは画像のスプーンモチーフのペンダントなどもよく見かけます。
ベビーリングは画像のような誕生石が入る形で
・指のサイズは赤ちゃんサイズ1号前後
・パパ、ママ、赤ちゃんの3人の誕生石を入れる
・刻印は誕生日、生まれた時の体重を入れる
というデザインなどがよく見られます。
出産祝いで送ったあとは赤ちゃんは間違って口に入れてしまうのでご両親が保管します。そして成人式や大学の入学式など大きくなったら「ファーストジュエリー」として渡すということが主流のようです。もちろんただ保管するだけでなく、もしくはご両親のどちらかがペンダントトップとして身に着けて赤ちゃんが大きくなったら渡したりお母さんのピンキーリングとして作るということもあるようです。
また、必ずしも出産祝いである必要はなく1歳、3歳など節目に贈ることもあるようです。
以上のような説明もお客様に聞かれたときにさっと答えられるようにNETで調べて覚えておきます。
オーダーメイドリング専門でもベビーリングのオーダーという依頼はそこまでないと思いますが、サンプルを作って受注できる用意はしておきます。
デザインを決める
まずはNETで他店のデザインを見ます。
誕生石や刻印を入れることがデザインのメインなのであまり個性的なデザインにはせずシンプルなデザインにします。
画像は正面図です。
サンプルは2本で1.5㎜の誕生石が入る伏せ込みマリッジタイプと3.0㎜の誕生石が入る6本立爪エンゲージタイプの2つを作ることにしました。
この大きさの宝石は見本で持っていて、料金表もホームページで公開しているので実際に依頼があった場合にも説明がしやすいです。
これに誕生石を入れますが、サンプルは無色のキュービックを入れます。
価格は誕生祝いとしてそこまで高くない金額設定でシンプルな指輪は5万円位で収まるようにします。
指輪の内径は手打ち刻印が入るギリギリのサイズで2㎜幅にしておきます。
サンプルを作る
ベビーリングはペンダントトップとして使うことが多いようなので指輪の内側の直径は6~10数㎜位が一般的のようです。
ベビーリングは誕生石と生まれた日やその時の体重などの刻印を入れることが大事だとおもうので
1、ペンダントとして使うなら小さいほうがかわいらしく、着けていて邪魔にならない
2、地金が軽くなるので価格が安くなる
という理由でサンプル内側直径は小さめの6㎜で作ることにしました。
赤ちゃんが生まれたときのサイズで作ることも多いようなので実際のオーダーではその説明もします。
サンプルは真鍮の板を曲げて作りました。
エンゲージタイプは透明石で銀色、マリッジタイプは金色でメッキします。
今回は腕は真鍮、エンゲージタイプの石座はシルバーの既成枠を使って制作コストを抑えました。
既成の石座の透かし部分はロー材で埋めています。
マリッジタイプなら爪留めより伏せ込み(覆輪)がかわいい気がしたのでそのように作っています。
他にはどんなデザインが定番かという説明もできるように画像のようなイラストも作りました。
WORKSに投稿する
加工事例としてWORKSでは
・パーツのオーダーでベビーリングが作れること
・ベビーリングとはどんなものか
・サンプルのベビーリングの説明と金額
・サンプルのベビーリングに入る誕生石の価格表
(3.0㎜と1.5㎜は宝石価格にあり)
・サンプル以外にどんなデザインがあるか
という内容でそのページだけで完結するようにまとめました。
名前はベビー「リング」ですが、サイズが小さいので「指輪のオーダー」ではなく、ペンダントトップと同じように「パーツのオーダー」になることも書いておきます。
それから他にどんなデザインができるのかもまとめておきます。
予定通り、オーダー価格はエンゲージタイプとマリッジタイプともに価格はダイヤモンド込みで5万円前後に抑えることができました。
宝石を替えて作る場合を考えて金額とその内訳も載せています。
ページの最後にはリンクからページを移動しなくてもいいように宝石価格一覧を載せました。
まとめ
今回、ベビーリングを作ろうと思ったきっかけの一つはお店のオープン当初にお見積りメールです。
内容的には持っている指輪を溶かしてベビーリングを作ってほしいということでした。
持ち込み地金を溶かす場合は溶かしてローラーで角棒にするという一手間がかかります。
鋳造で使ってほしいというお客様もいますが、鋳造屋さんは完成品の地金は(自社製品以外は)不純物が含まれていると鋳造時に失敗するという理由でそのままは使ってくれません。
なので持っている地金は下取りをしてオーダー料金から値引きが一般的だと思いますが当店では買い取りはしていません。
古い地金を使うよりオーダーメイドで1から作るほうがデザインも自由で価格も抑えられそうなのでいつご依頼が来てもいいようにベビーリングのサンプルを作りました。
今回作ったようなシンプルなデザインだと既製品のほうが安いので割高に感じるかもしれませんが、オーダーメイドとして考えるなら安いのではないかと思います。
前の記事 | > View More |
次の記事 | > View More |
職人向け 記事一覧 | > View More |