【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
前回は結婚指輪ページ全体の見直しについて説明しました。
今回は納品までの流れの見直しについて説明していきます。
お店を初めて準備期間も含めると4年が過ぎてオーダーメイドのご納品までの流れもマニュアル化できる位までおおよそ決まってきました。
#106 接客方法の見直しが打ち合わせからご依頼までの流れとすれば、今回はその続き、ご依頼後からご納品までの説明になります。
ご納品までの流れ
これまでご納品までの流れはトップページでは金額と納期は一緒にして、「納期について」という名前で価格の下にリンクを貼っていました。
何度か書き換えていますが、ここで伝えたいことは
1、通常納期はご注文からお渡しまで
1か月半~2か月ほど
2、リングサイズや原型の確認を宅配にすれば、
1回目の打合せ、ご納品の
合計2回のご来店でお渡し可能
という事で、従来のオーダーメイドのように完成まで何か月もかかったり、打合せで何度もお店に足を運ぶ必要がないことを強調しています。
原型制作方法はほぼCADなので、完成品とのお客様のイメージと誤差が出にくいので修正不要、原型は3Dプリンターの造形なので時間もかからないことやメールや宅配を上手く使うことで、この短納期が可能になっています。
このことがイメージしやすいように
STEP1 ご予約
STEP2 ご来店・打ち合わせ
STEP3 ご注文
STEP4 原型確認・サンプルリングの試着など
STEP5 お渡し
で説明、イラストも作りました。
とにかく、オーダーメイドは手間がかかりそう、ややこしそうというイメージを持たれないようにどうすればよいかを考えて改善を加えています。
工夫の一つを説明するとお客様にはご来店翌日には打ちあわせ内容を元にデザイン画とお見積りをメールでお送りしています。
デザインによって時間がかかる場合もありますが、画像のように「ご注文内容とご納品までの流れ」というタイトルで1枚のPDFにまとめて
・ご依頼のデザイン画
・合計金額と金額内訳
・お支払い方法
・振込み先
・ご納品までの流れ
・ご納品までの流れの注意点
・通常納期
など、このページだけ見れば、お客様は何をすれば良いのか、ご納品までの全体像が掴めるように何度も修正を加えています。
納期に関しても
「納期は荷物の到着日数によって多少変わりますが、
①ご注文から真鍮試着リングの到着まで約1週間、
②真鍮試着リングの試着期間は約1週間、
③樹脂原型の制作とご確認が約2週間、
④原型から指輪が完成するまで3週間なので
正式にご注文を頂いてから1か月半~2か月後です。
①~③までのメールのご返信、
荷物のご返送が早いほど納期も短くなります。」
という具合にどの工程でどのくらいの日数がかかるか、お見積りの時点でお伝えすることで完成までどの位かかるのか不明という不安が減るようにしています。
HPでこだわっている部分の一つはわかりやすい料金体系で、MENUで料金一覧、料金事例もすべて公開して、ご来店してから思ったよりも高いということはないようにしています。
金額と同様に詳しい納期、どのくらいやり取りの手間がかかるのかもお客様が知りたい事の一つだと思います。
制作方法はほぼCADなので、より具体的なご納品までの流れが作れる事、これまでサイト上で公開していた5ステップやPDF1枚では文字が多くて見ていて疲れるので、イラストを入れてより理解しやすいご納品までの流れのPDFを作り、納期ページも修正することにしました。
こちらが完成したご納品までの流れのPDFです。
1、お見積りとデザイン画のメール
2、ご注文&試着リングセットの発送
3、最終デザイン画の制作、確認
4、樹脂原型の造形、確認
5、ゴム型・WAXパターン取り
6、WAXパターンを地金で鋳造
7、地金になった指輪の仕上げ、刻印入れ
8、ご納品
の全8工程になっていて、最後に
ご納品前に真鍮で試す (1本 \5,000+納期3週間)
という特殊な対応を入れています。
「ご注文内容とご納品までの流れ」がメインで、このイラストメインのPDFがその補足で理解しやすいサブのような内容になっています。
ここからはPDFの文章は「」内で太字にして順番に説明していきます。
1、お見積りとデザイン画のメール
「店頭での打ち合わせ内容、測ったリングサイズでデザイン画を制作します。
デザイン画はカラーの正面、上面図をメールします。ここまでは無料です。
お見積り額の一部を指定口座に入金していただいて正式なご注文となります。」
デザイン画は具体例として
・メンズは幅3㎜、プラチナでサイズ#15
・レディースは幅2㎜、18金でサイズ#10
・デザインはお二人のイニシャル「S&A」を上下で分割
で作りました。
デザイン画は複雑な形や複数のご提案がある場合はPDF1枚にまとめたりしますが、最低でもカラーの正面、上面図はお送りするという内容にしています。
送ったデザイン画を変更したい場合はご注文していただいてからとなります。
2、ご注文&試着リングセットの発送
「デザイン画と同じ幅の真鍮リングを宅配でお送りします。
試着して最終リングサイズをオーダーシートに記入してご返送下さい。
幅や形状のデザイン変更希望はメールでお受けして返信します。」
「ご返信から1週間以内に郵送で
①メンズとレディースの真鍮試着リング
②デザインシート(指の最終サイズと刻印が空欄)
③ペン(デザインシート記入用)
④刻印見本ファイル
⑤サイズゲージ(試着リングが合わない場合の確認用)
⑥返信用封筒
の試着リングセットをお送りしています。
ご注文を受けたら宅配で真鍮試着リングを送ります。
3日~1週間ほど着けて、日常生活をしてから最終サイズを決めてもらいます。
指の最終サイズが確定しないと樹脂原型の制作に進めません。
このサイズ決めが店頭で測った時と違う人が多いので、リングゲージも同封しています。
このサイズ確定まで時間がかかるので、デザイン画と同じ幅で作る真鍮試着リングはキャストではなく、板を巻いて作って即発送することで納期が短くなるようにしています。
同封の②デザインシートに最終サイズだけでなく、刻印も記入してもらいます。④刻印見本ファイルには必要な記入例など入れて常に最新版に更新しています。
サイズが確定したら試着した①と記入した②、③④⑤を⑥返信用封筒に入れてポストに投函の上、ご連絡してもらっています。
幅や形状のデザイン変更はデザインシートに書いてもらうと届くまで時間がかるので、メールでお受けして荷物が返ってくるまでに対応します。
3、最終デザイン画の制作、確認
「オーダーシートの最終リングサイズを元に最終デザイン画を制作します。
最終デザイン画は造形用CADデータなので立体での形状確認が可能です。
樹脂造形前までサイズ、デザイン変更は可能で、再造形は有料です。」
原型データを樹脂で造形、ゴム型取り、WAXパターンを2つにカット、ご指定の貴金属で鋳造、仕上げという工程で指輪は完成します。
指の最終サイズが確定しないと樹脂原型の制作に進めないことはしつこく伝えておきます。(WAXパターンで問題なく直せるデザインもあります。)
樹脂原型はデザイン画(原型データの画面を撮影したもの)と同じ形で造形されるので「修正なし」を前提に価格を抑えています。再造形や2つ造形して比較したい場合は別途5000円かかると注意書きも添えてデザイン画、リングサイズは慎重に決めてもらっています。
お客様にはご提案中はスマホで見れるデザイン画、この最終デザイン画は立体のデータで送ってPCで確認してもらっています。(立体データは専用アプリを入れないとスマホで見れないため)
4、樹脂原型の造形、確認
「樹脂原型で『形状の確認』をして問題なければゴム型取りに進みます。
樹脂の確認が終われば、お客様はご納品日を待つだけです。
原型確認が宅配の場合は樹脂原型がこちらに戻ってきてから
3週間後がご納品日になります。
※樹脂原型は『形状の確認用』で試着はできません。」
この樹脂原型の確認が終われば、手間がかからない点とご納品日が確定する点は協調しておきます。
5、ゴム型・WAXパターン取り
6、WAXパターンを地金で鋳造
7、地金になった指輪の仕上げ、刻印入れ
PDFの右側、5~7はお客様が対応することはないのでイラストと工程のタイトルだけです。
8、ご納品
「ご納品では地金の指輪と共に特典として制作過程で出来た
樹脂原型、WAXパターン、真鍮キャスト、ゴム型はプレゼントします。」
これで通常のご納品までの流れ1から8までの説明は終わりです。
ご納品前に真鍮で試す
「サイズ直しができる指輪限定で特典の真鍮キャストで試着後に
地金のサイズを決めることができます。」
通常のご納品までの流れとは違い、サイズ直しができる指輪限定で有料になりますが、特典の真鍮キャストで試着後に地金のサイズを決めることができます。(1本 ¥5,000+納期3週間)
例えば、捻りの指輪のように内側に凹みがあって試着用真鍮リングやリングゲージで正確なサイズを測ることが難しい場合は真鍮キャストでの試着がおすすめなので、この例外を作りました。
通常のデザインならこの工程は不要で、特典の真鍮キャストを仕上げて発送する手間もかかるので追加料金はかかることにしています。
画像のような1周模様がある指輪や仕掛けのある指輪は当然ですが、真鍮キャストで試してサイズ変更といったことはできません。
HPを修正する
完成したご納品までの流れのPDFをサイトにもUPします。
1枚にまとめる必要はないので注意書きなども細かく載せておきます。
「EX)結婚指輪のご納品までの流れ」というタイトルで今回作ったイラストだけでなく、写真も使って読む人がイメージしやすいように書いていきます。
ご納品についてのページが修正出来たらTOPページも修正します。
TOPページのスクロールボタンでは、
・金額、納期について
・特典、アフターフォローについて
と2つに分けていた説明を
・金額について
・特典、アフターフォローについて
・納期について
の3つに修正します。
それぞれ左にイラスト、右に写真で簡潔な説明、末尾にそれぞれのページへのリンクを張っておきました。
まとめ
納品までの流れの見直しについては以上です。
ブログ「#106 接客方法の見直し」でも書きましたが、お客様が何度もメールをする手間がかかる、よく読まないと理解できないといった場合は改善する必要があると思っています。
今回の見直しも実際に対応をしていて、納品までの流れが理解しにくいということに気が付いて、イラストメインのPDFを作ってメールで送るという方法に落着きました。
こういった見直しはこれで完璧ということはないので、今後も気づいたことがあればブログで書いていていく予定です。
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