CAD(キャド)はComputer Aided Designのことでパソコンで設計やデザインをしてデータを作る事です。
このブログではまだCADを使っていない職人さん向けにCADと3D造形に関して知っていることをまとめました。
1、ソフトの種類
2、CADをどう覚えるか
3、造形について
4、仕事への活かし方
の順番に説明していきます。
1、ソフトの種類
まず1、ソフトの種類です。
ソフトも多数あり無料のものもありますが、自分は価格は15万円ほどの「ライノセラス」というソフトを使っています。
アメリカのメーカーが販売製造を行っていてアプリクラフトという会社が日本で代理店をしています。
このライノセラスは建築や自動車の設計などに使われていてジュエリー業界で最も使われているCADソフトでもあります。
ジュエリー制作用にプラグインソフトも出ています。
プラグインとは「ソフトウェアに機能を追加する小さなプログラム」のことでジュエリープラグインは宝石データがあってパヴェの自動配置機能などがあります。
プラグインはライノゴールドとエバンスエディションの2つが周りで使っている人が多いです。
ライノゴールドは専門学校で講習を受けると学生版を安く購入することができてライノセラスもついてきます。
エバンスエディションはプロが使うソフトで自分が教わったCADトレーナーさんもソフトを開発した方の教え子だそうでとても便利だといっていました。
ジュエリーに使うCADでライノセラス以外だと3デザインというソフトが有名です。
ただ価格が100万円ほどと高額です。
ここではコストを抑えたソフトを購入するかお試しにいい方法をお伝えします。
2、CADをどう覚えるか
会社から費用を出してもらったのと自費で
・某彫金学校の短期講習(約10回)
・山梨のCADトレーナーさんの短期講習(3日間)
・ライノセラスの日本の販売代理店の講習会(1週間)
の3つを受講しました。
他には本を買ったり、NETで調べたりして覚えています。
ライノセラスの本も売っていますがジュエリーに特化した内容ではないので購入してみましたがあまり使いませんでした。
・山梨のCADトレーナーさんの短期講習3日間
個人的にはAMULEという会社の講習会で教わったことが1番役に立っています。
初級、中級、上級、実践と、思考テクニックの
全5冊セット
教科書がNETで購入できるので予習してわからないところをまとめておいて講習を受けに行きました。
3日間で14万円コースと2日間で12万円コースがあり、自分は3日間のコースを受講しました。
会社に費用をだしてもらっていたので他の社員に教えられるように教わった内容で自分が重要だと感じたものを50ページほどにまとめました。
講習で使った教科書の内容のダイジェストになっています。
こちらがまとめた内容のタイトルです。
個人的に知りたかった印台やカレッジリングなどは検索で調べて作りました。
受講の時は会社のノートパソコンを持っていきましたが貸してもらえるので持っていく必要はありません。
教わるときは後でエクセルでまとめることを考えて許可をもらってスクリーンショットでこまめに撮影していました。
ノートをとると時間もかかるのでメモ程度で済むようにします。
作業手順のダイジェストと一緒に作るのをおススメするのがコマンド一覧です。
別の講習会でライノセラスは全部で1000個ほどのコマンドがある中でよく使うのは100~200と言われました。
教科書で使っているコマンドを書き出し、画像のようにA4の紙にまとめてクリアケースに入れて下敷きとして使っています。
これでコマンドがどの位置にあるか、どのタブに隠れているか忘れてもクリックしないでもすぐに分かります。
また、コマンド起動は隠れたアイコンボタンを押すよりもコマンド実行欄で英語を入力したほうが早い場合もあるのでその一覧もまとめておきます。
よく使うコマンドはツールバーにまとめておくこともできますが、設定をしてしまうと応用が利かなくなるといわれたのでまずはデフォルトで作業していました。
結論としてはAMULEさんから教科書購入で勉強してわからないところをまとめて聞く、そのあと、自分でまとめた教科書を作るのが覚え方としていいのではないかと思います。
ライノセラスにかんしては最初は買わなくても90日間の無料評価版があるのでこれをインストールしてAMULEさんの教科書を2か月勉強して最後の1か月で受講、そのあと自分で教科書をまとめる
これで使えそうだと思ったらソフトを購入でいいと思います。
AMULEさんは山梨県まで行きましたが現在は世田谷と上野でも受講できるようです。
ライノセラスは現在バージョンが「5」でもうすぐ「6」が出るそうなので急いで購入を検討でなければ少し待った方がいいかもしれません。
3、造形について
ジュエリーのデータを作ったら樹脂原型を造形します。
造形機は10万円前後から手に入るようになりました。
ただ、価格の安いものは積層ピッチが粗く、段差があり、ジュエリーに使えません。
また、樹脂原型で造形すると液ゴムを取らないといけません。
通常の焼きゴムに比べて+1000円位かかります。
樹脂原型はゴム切りの時に傷がつくので返却されないことがあります。
依頼するときは樹脂原型も返してもらうようにお願いするといいと思います。
直接鋳造ができるWAXのような樹脂もあります。
従来はプラチナだけはできなかったそうですが、最新機種だとすべての素材ができるそうです。
型を取らないので安いかと思いきやゴム型を足した金額より樹脂造形代が高いので自分は型を取る樹脂原型でお願いしています。
造形依頼するときは注意点があります。
・ゴム型が切れる形である事
これは地金で作る時と同じだと思います。
・WAXパターンが取れる形である事
ゴム型を取るので模様のリングなどは最低0.4㎜は間隔をあけないといけません。
CADデータを作る画面は拡大して見えるので忘れそうになりますが細すぎるとWAXパターンになったときに潰れてしまいます。
CADのデータを造形機で樹脂原型にする以外にWAXの切削機で削り出す方法もあります。
造形を依頼する会社に聞いたところ、これならゴム型を取らずに済むのですが、切削する刃の当たる角度などの関係であまり複雑な切削は難かしいとの事で
造形機を使っているとのことでした。
他社のホームページを見るとローランド社のMDXシリーズという切削機を使っている所もあってヤフオクだと価格も価格も十万円前後で手に入るようです。
4、仕事への活かし方
CADを覚えた方がいい理由ですが、オーダーの指輪を作るお店では職人さんでCADができる人が少ないので差別化できます。
①手では難しいデザインが短時間で作れる②原型データがデザイン画になるので出来上がりイメージの誤差が少ない③修正が簡単など利点が多いです。
画像のようにイラストレーターのデータをCADにインポートすることもできます。
今回サンプルで作った指輪も複雑な柄ものや婚約指輪の石座はCADで作りました。
手では作れないデザインが短時間で作れる
これだけの理由でも覚える価値があります。
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