「⑱HP公開後の修正3」の最後で「現在、サイトの一番の問題はワークス(加工事例)がないので具体的にどんな提案ができるのか、どんなオーダー指輪が作れるのかわからない。次の3か月でそれが説明できるように事例を作る」という内容を書きました。
4月から始めて5月末までの約2か月で70件のワークスの事例を公開するところまで終わったのでその過程を説明したいと思います。
こちらがワークスの完成したタイトル一覧です。
画像は1事例に対して6枚用意します。3枚は作った指輪の画像で残りの3枚は制作過程やアレンジ見本、イラストなどで見る人が興味を引く画像を考えて用意しました。
内容はA4の紙にまとめてあります。
ワークスは
①鍛造技法で真鍮棒を指輪にする
②結婚指輪の型を再利用
③CADデータのみ作っておく
という3つの方法で作りました。
70件の内訳は①と②で地金の指輪を30ペア、③でCADデータを40ペアとなっています。
ここからは70件のデザインをどうやって決めたかご説明します。
①鍛造技法で真鍮棒を指輪にする
結婚指輪のページのリングはすべて幅2、3㎜の単色地金で艶消し模様で作ってあります。
なので
・カーブさせる
・テクスチャーをアレンジする
・銀地金を使ってコンビ地金にする
・ヤスリで削る
という方法でどんなアレンジが可能かわかるデザインを真鍮板をカット、ロー付け、ヤスリで成形してどんどん作っていきます。
真鍮の角棒は3㎜×3㎜幅でも1メートルで1000円しないので鋳造依頼するよりも安く大量に作ることができます。
②結婚指輪の型を再利用
基本デザインのヒストリカルとパターンは作る時にゴム型をとっています。
この中からギメルリングをシルバーと真鍮で10本、シグネットリングを6本、ブロックスをシルバーと真鍮で2本・・・と鋳造して再利用します。
画像はキャストから上がってきたギメルリングの加工途中です。
今回はしませんでしたが、印代リングなどはワックスパターンで依頼して地金の状態では付けられないテクスチャー(指紋、スタンプなどを押し当てる)を付けた状態にして鋳造に出しなおすというのもいいかもしれません。
ここで作った事例は後でマリッジリングのページにアレンジ例として画像を載せてリンクを張ります。
③CADデータのみ作っておく
ワークス(作品集)は普通は完成品だけですが、CADデータだけでも公開することにしました。
他のお店で制作事例のページにCADデータだけを公開しているお店は見たことがないのですが、地金物だけだと似たデザインが多くて見ていて飽きそうなので地金とCADを交互に公開していくことにしました。
CADはデザインの自由度が高いので読む人がイメージを膨ませられるような内容を考えます。
デザインの決め方ですが、まず他の結婚指輪専門店のホームページを見てミンサー、ハートを上下で分割、ト音記号、星座などまだ自社のホームページで公開していない内容を書き出していきます。
以前にPCの使い方で説明したようにお気に入りに同業他社を登録しているので端からチェックしていきます。
それから海外サイトもチェックします。例えば今回作ったオガムスクリプトは海外ではよく指輪のデザインに用いられますが日本のジュエリーサイトでは見たことがありませんでした。
CADでデザインを作ることは絵を描く事に近い(気がする)ので指輪やジュエリーに限定せずに他のカテゴリーも見ます。
気に入った画像を保存、その画像をCADに取り込んでそれを見本にスケッチしてデータを作っています。
ペイズリー、ウィングチップ、
スターアンドクロスなどはそういった方法で作りました。
他にもアルファベットなどの文字を指輪に模様として入れる場合も考えます。
書体を変えるパターンはどのお店でもやっています。
先ほど書いたオガムスクリプト、モールス信号、点字などアルファベットはどういった表現ができるか書き出して画像を探してデータを作ります。
アルファベットブロック、トライアングルは似たアイデアがあったのでそれを参考にしました。
著作権を侵害しないようにアルファベットものは手間がかかりますが自分でAからZまで作っています。最初は手間ですが一度作ってしまえばこれがお店のオリジナルにもなります。
こうやって作っているとデータが溜まってくるので、組み合わせて新しいデザインを作ることができます。
結婚指輪でいえば
ブロックス→キューブ1~3、ブロックアンドテキスト
などがそのアレンジになります。
デザインはそのまま指輪に一周巻き付けただけだとどれも同じように見えるのでモチーフを決めたら
・分割する
・他のモチーフを組み合わせる
・シンプルにする
・変形させる
など形を変えてお客様のイメージが膨らむようにアレンジしていきます。
ここで簡単に説明しているデザイン決めの方法は「オーダーメイドのデザインの決め方」のような内容で後日、お客様向けに画像を入れてわかりやすく書いて公開する予定です。
結婚指輪のデザインに関しては昔ならデザインを決めるのにお金を払って本や資料を集めて手でデザイン画を描いてという方法が一般的でした。
今はインターネットの無料サイトなどでモチーフや最新のデザインを探してCADでスケッチして原型データを作るということができるのでオーダーメイドで指輪を作る職人にとってはとてもいい時代ではないかと思います。
選んだモチーフの意味なども検索していくつかの文章を比較して書くことができるのも助かります。
ワークスの制作過程は以上です。
これである程度の画像もできたのでSNSも始めて画像の投稿もしたいと思います。
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