【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
お店を初めて当初から用意している結婚指輪サンプルに無限大(∞)をモチーフにした「インフィニティ」があります。
この指輪はリングに段差があることで2本を重ねて上から見ると∞(無限大)マークが現れる仕組みになっています。
この無限大をモチーフにした指輪に新型を追加したので、今回はこの指輪について説明していきます。
これまでのインフィニティリング
無限大(∞)をモチーフの結婚指輪「インフィニティ」はメンズとレディースの凸凹を重ねることで、上から見ると無限大(∞)が現れる仕組みで指輪のデザインとしては定番の一つです。
写真の指輪は3㎜幅と2㎜幅の板を曲げて原型を作り、メッキをしました。
他の無限大(∞)をモチーフの結婚指輪ではカーブさせて正面から見たときに無限大が現れる指輪もよく見ます。
以前に作った結びの指輪の試作品で、大きい円を中心で捻って重ねるデザインを考えました。
これは結び目ができていないのでボツにしましたが、一度は無限大(∞)のような形になってから折りたたんでいるので「インフィニティ」のアレンジ例として時間があれば作ろうかと思っていました。
それからしばらく経ってお客様から画像のようなクロスリングのご依頼がありました。
この形は2本の甲丸リングの角度を変えて重ねたデザインで正面から見た形は作ろうかと思っていた新型の「インフィニティ」と同じです。
このクロスリングに関してはすでにあるトリニティを2本に減らしただけなので結婚指輪ページに追加するような形ではないと思いました。
というのもコンビリングにするとさらにわかりやすいのですが、全体を捻るギメルリングと構造もも似ています。
上から見た状態で下半分を断面に沿ったストレート腕にすると新型のインフィニティリング、左右対称にコピーして180度捻るとクロスリングになります。
ご注文になったクロスリングは作品集のページで公開、トリニティリングのページに3本から2本に減らしたアレンジ例として載せることにして、新型のインフィニティリングはマリッジページに追加することにしました。
新しいインフィニティリング
先に作ってあったクロスリングの原型データを活用してインフィニティリングを作っていきます。
ちなみにクロスリングは今後ご注文があってもいいようにコンビリングで組み立てることもできる原型データも作ってあります。
完成したインフィニティリングは上半分の一部だけコンビで作るデザインも需要がありそうなので原型データは作っておきました。
このイラストはインフィニティリングのアレンジ例として結婚指輪ページにも載せます。
これで樹脂原型を造形、地金で鋳造、仕上げてメッキをすれば完成ですが、まずはコストを抑えてワイヤーワックスで作っていきます。
制作方法はヘラクレスノットの指輪の時と同じで指輪の内側に1㎜厚のシートワックス(ピンク色)を張って1.9㎜のワイヤー線で幅3.8㎜と2.8㎜のワイヤー線で幅5.6㎜の2種類を作ります。
手持ちで幅違いのワイヤーワックスを使って合計4本をサイズ16号で作りました。
真鍮になって上がってきたら、幅3.8㎜はヤスリで上下を削って、幅は3.0㎜にして全体のバランスも調整します。
幅3.0㎜、幅5.6㎜の2本は金色で残りの幅3.0は銀色でメッキをします。
結婚指輪ページに追加するアイキャッチ画像のペアリングはどちらも幅3.0㎜を選びました。
ちなみに最初のころはマリッジページにインフィニティカーブという正面からみると無限大に見えるカーブリングを載せていました。
その後、このインフィニティカーブはアレンジの一例で形状(基本デザイン)に入れる指輪ではないと思ったので結婚指輪ページからは外しました。
ただ、今回作った指輪のアレンジ例としては2つの無限大が入ることになるカーブはデザイン上の意味もあるのでCADでイラストを作りました。
加工工程サンプルを作る
インフィニティリングは新旧を合わせてTOPページのフォトギャラリーで公開します。
新型は旧型と違い、パッと見て「無限大を中心から2つに折りたたんだ指輪」ということがわかりにくいのでフォトギャラリー用に加工工程を真鍮棒で作りました。
作り方はまず、リング2本分(今回はサイズ16号)の流さの58㎝×2=116㎜で棒をカットします。
これを4本分用意してロー付け、
綺麗な楕円形にするのにバングル用の芯金は小さ過ぎたので、木万力に入れて成型しました。
3本は写真のように捻ります。
2本は完成イメージのように曲げて、
1本は指輪の芯金に入れて、地金が上下に重なる部分は溶接をします。
仕上げて完成したのがこちらです。
正面から見ると2本の線がクロスして、背面は2本の線が平行に並んでいます。
更にわかりやすく図解すると、この指輪は細い甲丸を上下に重ねた2層リングと中心から角度をずらして重ねたクロスリングを半々に繋げた形です。
このようにHP上ではお客様がイメージしやすいように図解と言葉で説明します。
HP用のアレンジ例イラストとして正面から見たときに無限大カーブ、
この形状を活かした上面の交差部分の素材を変えた一部コンビと2本の指輪を交差させたようなハーフコンビの原型データ、イラストも作りました。
HPで公開する
まずは結婚指輪ページへ投稿します。結婚指輪ページではOTHERSのカテゴリにいれます。
当初は旧型のINFINITYのページ内に新型をアレンジ例として入れる予定でしたが、形が違いすぎる事とこの新型の形を好きな人もいると思うので、ページを分けることにしました。
名前をどうするか悩んで、これまであったINFINITYはINFINITY(Stack)、
新しく作った指輪はINFINITY(fold)にしました。
Stackは「重ねる、積み重ねる、積み上げる」、foldは「折りたたむ」という意味です。
指輪の形状から考えて、無限大がどこに隠れているか分かる英単語を選びました。
マリッジページに投稿したらINFINITY(Stack)とINFINITY(fold)の2つのデザインから選べることがわかる画像をフォトギャラリーに投稿します。
リンクはINFINITY(fold)の方を張っています。
まとめ
インフィニティリングについては以上です。
旧型は個性が強めでした。
新型はパッ見はよくある斜めデザインの指輪ですが、無限大が隠れている意味のある形という事でお客様にもおすすめしやすいのではないかと思います。
新型のINFINITY(fold)はコンビ用のCADデータも完成したのでそのうちサンプルを作るかもしれません。
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