【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
写真の結びモチーフの結婚指輪を9本とヘラクレスノットの婚約指輪サンプルを作りました。
今回はこの指輪が完成するまでを書いていきます。
結婚指輪のヘラクレスノット
今回作った指輪は結婚指輪のヘラクレスノットのアレンジ例として作りました。
結婚指輪のヘラクレスノットは1.5㎜の断面が正方形と丸のワイヤーWAX線を結んで作っています。この指輪は腕の幅3㎜、厚みは1.5㎜です。
刻印が入るように内側を平らに均すためと、キャスト後に仕上げると薄くなってしまうので指輪の内側にWAXを盛り付けて厚みを補強しています。
当初は2つの丸線の間に丸線を置いて溶かしていましたが、場所によって厚みが不均一になってしまいました。
そこで2つの丸線の間を熱したスパチュラーで溶かしてくっつけた後に幅3㎜、厚み0.5㎜のシートワックスを内側に張り付ける方法に変えました。
これなら腕の厚みは丸線1.5㎜+シートワックス0.5㎜で2.0㎜になります。腕の厚みで不均一な場所も出ません。
シートワックスの両サイドを溶かして丸線とくっつけたら鋳造に出します。
このヘラクレスノットの指輪はトップと腕の間に少し隙間があるのでサイズゲージよりも緩く感じます。受注の際は1号小さめ位で原型を作るとサイズはちょうど良いと思います。
CADで原型データも持っておくことも考えましたが、イメージ通りにできなったのでサンプルはワイヤーワックスで作っています。
新しい結び目リング
少し前にこのヘラクレスノットの指輪のお見積りがあった事とレディースなら結び目部分は小さくして幅は2㎜のほうが結婚指輪としては日常で邪魔にならないので断面が1.0㎜の丸線で作りなおすことにしました。
それと合わせて他の種類の結び目リングもアレンジ例として作ることにしました。
「紐 結び」「string Knot」などで検索して指輪にできそうな結び方を探します。できればヘラクレスノットのように結び方に歴史と意味があること、あまり複雑でなく指輪にしたときに幅広にならない結び方を探します。
市販の直径1㎜丸線のワイヤーワックスを結んで指輪状に丸めて内面のはWAXシートを張って原型は完成です。
柔らかくて持ちにくいのでリングホルダーにワイヤーを巻き付けてから丸線の先端同士を溶かして繋げるとサイズもピッタリで作ることができます。
直径1㎜のワイヤーワックスは結ぶと切れやすく、麻紐、ゴム紐、地金線など他の素材で作ってゴム型を取ってはどうかと考えて試しました。
麻紐、ゴム紐は柔らかすぎたり、地金線は硬くて曲がらなかったりと上手くいかなかったので最終的にWAX線を切れないように丁寧に結ぶことで原型を完成させました。
真鍮で鋳造後に仕上げて金メッキをして完成です。
出来上がった9本の指輪は結びという意味の「ノット」という名前でワークスに投稿しました。
結婚指輪のヘラクレスノットページにも結び目の指輪は何種類か用意してあること、
比較画像も並べて結び目の大きさが選べることも説明しています。
TOPページのフォトギャラリーにもリンクを張ってあります。
一番上の横長画像は実際の作り方とは違いますが、「結び」モチーフとイメージしやすいように2本の地金板から中石が留まる婚約指輪になるまでの4工程画像にしました。
実際は1.5㎜角のWAXで原型を作って真鍮で鋳造、
地金になってから中石留め、メレ留めをしています。
まとめ
結び目リングについては以上です。
結婚指輪としては1㎜の結び目から次第に太くなり幅3㎜の甲丸になるデザインもバランスがよさそうです。
9種類の結びリングはイマイマチな出来のものもあるので時間を見て作り直すかもしれません。
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