【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
結婚指輪の基本デザイン ツイストのアレンジ例として板を360度捻って丸めたデザインのエタニティリングを作りました。
オーダーメイドの指輪を作る過程#057では、この指輪のデザインを考える所からホームページで公開するまでを書いていきます。
指輪のデザインを考える
板を180度捻るメビウスの輪デザインの指輪を当店では基本デザイン ツイストというカテゴリにして、捻る角度を変えて全7種類の結婚指輪サンプルを用意しています。
捻りデザインはどのお店も大体は用意していて大抵はメレの彫り留めがされています。この彫り留め入りサンプルをまだ作っていなかったので今回作ることにしました。
画像は完成したツイストエタニティリングのCADデータです。赤色は4本爪留め、青色はレール留めです。
捻って宝石が一周入ることでストレート腕に比べてデザインにインパクトがあり、正面から見た特に宝石ありとなしの2パターンが選べます。また、指に着けると宝石が徐々に見えなくなっていくのでハーフエタのように石留めの流れが途中で切れる事もなく自然です。
NETで調べると360度捻りで一周入るパターンは少なく、フルエタニティになっていないデザインが多い印象でした。
おそらく指の内側にくる部分は宝石がなくても外からは分からないので不要、サイズ直しができる、宝石が少ない分価格が安くなる等の理由ではないかと思います。
また、360度ではなく180度捻りで作るメビウスタイプだと正面から見た特に宝石アリとナシの2パターンではなく、
宝石がアリとアリの同じデザインになってしまう上に宝石の数も2倍で価格も高くなります。
360度捻りならストレート腕のフルエタニティと宝石の個数がほぼ一緒なので価格も変わらず、デザインにアクセントも効いているので
4本爪タイプと他ではあまり見ないレール留めタイプを作ることにしました。
という考え方で捻りのメレ留めサンプルは360度捻りのフルエタニティリングに決まりました。
指輪の原型データ制作
今回も制作方法はCADを使います。ここまで公開しているCADデータは完成前のデータのまま持っていてサイズ変更などがその部分だけ調整することで簡単に完成させることができるテンプレートのような状態にしてあります。こうすることで1から手順も思い出して作る手間も省いています。
このツイストエタニティリングはお店を始める前からいつか作ろうと思ってCADデータも途中まで作っていましたが、未完成でした。
というのもストレート腕に比べて捻りの入ったフルエタニティはデータ制作が難しくなり、指のサイズ、宝石の大きさが変わっても対応できるテンプレートが納得のいくものができていなかったからです。
どうすれば少ない手順で応用の効くデータができるか試行錯誤しながら、今回である程度納得できるテンプレートが完成しました。
①赤枠内はパーツごとに展開した状態です。
これを②赤枠内のようなリング部分と宝石部分の2つに分けて③赤枠内のようなエタニティリングにしていきます。
4本爪はダイヤ直径と同じ1.5㎜幅からはみ出さず、4本爪とレールの腕の断面はどちらも2㎜幅にすることで途中から2個を同時に作って切り替えで表示できるようにしています。
レール留めに関しては片側は完成した形(爪を倒した状態)にしておくことで地金になったと時に斜めから宝石を入れて反対側のレールを叩くと簡単に留まるようにして作業を減らす工夫がしてあります。
宝石、ドリル、4本爪、宝石を並べる板部分なども色分けしてボタン一つで表示、非表示できる設定にしてあります。
この内容は専門的すぎるので詳しい手順などは省きます。
石の数はサイズ13号で33個になっています。テンプレートが完成したのでサイズ変更と宝石の数の調整も短時間で行うことができます。
完成した4本爪とレール留めの指輪データはこれまでと同様に合体させて一つにすることで樹脂造形代とゴム型代を抑えます。
腕回りに模様が入っている場合は上下に合体で問題ありませんが、ツイストエタニティリングは側面にも石座があるので上手く造形できるように模様がない部分同士を左右につなげます。
指輪の加工
樹脂造形、ゴム型取りを経て真鍮になって指輪が上がってきたので早速仕上げていきます。爪留めはナナコ鏨、レール留めは平鏨とオタフク槌で留めていきます。
透明石だけだと寂しい気がしたので内側7石を赤と青のグラデーションにすることにしました。
宝石の座りが悪い場合はピンバイスにブッシュカッターを付けて削り宝石のテーブル面を下げます。
石留めはまずは両側面を留めて、
次に指輪の正面外側、
最後に指輪真下の内側の4回に分けて留めました。湯道を削ってサンドペーパーで磨き、スポンジヤスリで全体を艶消しにしたらメッキに出します。
4本爪は金色、レール留めは銀色になって出来上がったので撮影してホームページで公開します。
ホームページで公開
まずはいつも通りワークス(作品集)のページに投稿します。
ワークス一覧のアイキャッチ画像は正面と指輪の内側に宝石が見える角度、それを反転させて宝石が見えない正面の2段にしました。
文章は4本爪とレール留めで板を360度捻ったエタニティリングであること、結婚指輪の基本デザイン ツイストの中の360degreesであること、爪とレールどちらでも作れることを書きます。
サンプルはサイズが13号、幅2㎜、宝石は直径1.5㎜で33PCであること、金額はオーダー基本料10万円に留め代は1PC1000円、ダイヤモンドは通常グレードで金額を出しました。
ワークスのページで公開したらTOPページのフォトギャラリーにもこのツイストエタニティリングの画像を入れます。
①はいつも通りに4つに分けた制作過程です。
②は基本デザインツイストの7型の正面図を使いました。
③こちらも基本デザイン ツイストの指輪と一緒に作った7種類の捻り棒(丸めて指輪にする前の状態)で金色は幅2㎜、銀色は幅3㎜です。
④ツイストエタニティリングのメイン画像でワークスに投稿したツイストエタニティにリンクを張っておきます。
あとはSNS用の画像を作って投稿準備ができたら終わりです。
まとめ
お客様の目を引くようなエタニティリングが出来ました。
指の内側に当たる部分の色石だけ金色地金は赤、銀色地金は青のグラデーションになるように並べることで透明石1色よりも目を引くデザインになったと思います。
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