【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】
お持ち込みのブルートパーズでペンダントネックレスをお作りしました。
ペンダントなどのジュエリーオーダーでは指輪以外という意味のアザースというコースで対応しています。
このブログでは写真の三角形ペンダントが出来るまでを説明していきます。
1回目の打ち合わせ
写真左の水色宝石のお持ち込みでお母さまから娘さんにペンダントを贈りたいというご相談をお受けしました。
後日、娘さんを連れてご来店するということでその日にプラチナで爪留めと覆輪で作った場合のおおよその金額をメールしました。
お見積りには石座のプラチナでの重さを計算して合計金額を出す必要があります。
変わったカットの石座なのでそこまで重量は変わらなさそうなので三角形で簡単に石座を作り重さを計算しました。
2回目の打ち合わせ
2回目の打ち合わせではペンダントを身に着ける娘さんとご一緒にご来店されました。
ペンダントは爪留めということは決まったのでチェーンを決めていきます。
写真はペンダントやネックレスを作るときに商談で使っているものです。
・計測用ロングチェーン
・K18ベネチアンチェーン太さ見本
・K18小豆チェーン太さ見本
・SV小豆チェーン40㎝引き輪プレートタイプ
・SV小豆チェーン45㎝スライドパーツ付きタイプ
・鏡
計測用ロングチェーンとチェーンを使ってどの長さがいいか見てもらいます。長さは40㎝に決まりました。
ペンダントにはバチカン付きを考えていましたが引き輪とプレートが下がってくるのが気になるということで中切れのバニータイプにすることになりました。
チェーンに関してはペンダントが大きいのでそれに合う太めの1.2㎜厚のベネチアン(幅は㎜)で長さは40㎝でお見積りをだすことになりました。
ここまで決まったので後日、メールでここまでに決まったデザインでのデザイン画とお見積りをお送りすることになりました。
原型データを作る
デザインが決まったので原型データを作っていきます。
まずはノギスで宝石の寸法を測って上面図を作ります。
その寸法から宝石のガードルを境に
上下の2つを作って合体、不要な部分をなくします。
宝石のデータが完成したら石座のデータを作っていきます。
後でデザイン変更があるかもしれないので完成した石座とは別にパーツの状態でも分けて保存しておきます。
こちらが完成したデータです。
爪は丸よりも板爪が合いそうな事と丸カンと石座との接地面を増やし強度補強の目的で画像のような形にしています。
手前から宝石が留まった状態、原型、宝石となっています。これをデザイン画としてお客様に送ります。
真ん中の原型は爪を留める前の状態になっているのでこの形でプラチナでの重量を計算します。
お見積りが出たらデザイン画もまとめたPDFをお客様にメールします。デザイン画はレンダリング表示にして角度を変えた画像をPDF1枚にまとめています。
これとは別のチェーン価格一覧と一緒にメールで送りました。
その後、ご返信があり、お見積り通りのデザインでご注文となりました。
お客様が分かりやすいように金額の内訳も書いています。
丸カン部分はチェーン見本のサイズと同じデータを作って石座と合わせます。
これで樹脂原型を依頼します。
指輪の制作
樹脂原型からゴム型取りを経てプラチナの石座が鋳造から上がってきました。
チェーンも仕入れてきたので早速加工に入ります。
後で宝石の重さ、石目刻印を打つので重さは測っておきます。
まずは湯道を削って全体を仕上げます。
彫刻代に石座を固定してから内側を削って宝石を沈めて爪を倒して固定します。
トパーズは割れやすい宝石なので慎重に作業をしていきます。
爪は微調整できるように少し長く厚く作ってあったのでヤスリで削って調整します。
留め終わったらひっくり返して石座の淵に金種と石目の刻印を打ちます。
チェーンを真ん中でカットしたチェーンを石座のマルカンに組み込みます。
チェーンのコマはヘラの先端で少し拡げてから丸カンに通すとスムーズに入ります。
CADで0.1㎜単位で調整しておいたのでサイズも問題ありませんでした。
あとは丸カンの口をレーザー溶接して全体を仕上げて完成です。
WORKSに投稿する
ペンダントが出来たら写真撮影、画像修正をしてご納品後にWORKSに投稿します。
アイキャッチ画像がペンダント部分を中心にした正面からの写真にしました。
全体がわかりやすいようにケースに入れた写真も用意しています。
文章はここまで書いてきた内容を一般の方向けにまとめてイレギュラーなカットの宝石でも対応できることCADの重量計算機能を使うことでお見積りで正確な金額を出せることなどを書きました。
まとめ
今回のリフォームは前回のブログで紹介したアメシストスリムリングと同じお客様のものです。
インスタグラムにはアメシスト6枚、ブルートパーズ6枚で画像を用意しました。
前回のブログでアメシストスリムリングの石座は既成枠(セミオーダー)の底に地金を足した加工をして、このブルートパーズの石座はCADを使ったフルオーダーです。
前回と今回でブログの内容としてはお客様のお持ち込み宝石にどう対応するかの良い事例になったと思います。
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