ジュエルクラフト東京

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#126
3つの新型模様リング

【 オーダーメイドの指輪を作る過程 】

新型模様リング0
前回は「彫り風」というテーマで模様リングを作り、結婚指輪に追加しました。

新たに写真の

1、月桂樹模様リング
2、編み込み模様リング
3、アカンサス模様リング

の3つを作ったので、今回はこの指輪について書いていきます。
 

 

指輪を作る

新型模様リング24
サンプルの指輪はこれまで通り、制作コストを抑えるため、CADで指輪の半分のデータを作って他の指輪の原型と1つにまとめます。
 

 

新型模様リング23
新型模様リング4
新型模様リング22
新型模様リング19

樹脂造形、液ゴム取り、WAXパターンまで出来たら
 

 
新型模様リング21
分解して、
 

 
新型模様リング16
新型模様リング17
新型模様リング18
繋げて一本の指輪にして鋳造に出します。
 

 
新型模様リング1
真鍮地金になってから仕上げてメッキをして完成です。結婚指輪ページに追加するので全て銀色と金色のペアで用意しています。

今回作った3型とも過去に作った模様リングを発展させたアレンジ例のようなデザインになっているので、ここからは3つの模様リングを作った理由、こだわったポイントなどを順番に説明していきます。
 

 

1、月桂樹模様リング

月桂樹彫刻風指輪2
月桂樹彫刻風指輪8
月桂樹彫刻風指輪7
月桂樹彫刻風指輪6

月桂樹は結婚指輪のモチーフになる植物では定番です。

月桂樹はギリシャ神話でも神聖視された植物で、古代ローマでは栄光や勝利の象徴としてこの月桂樹で編んだ冠を勝者に送る慣習がありました。

この指輪は「指に着ける月桂冠」のイメージで、一方向に葉が重なった立体的なデザインにしています。

中心に対して左右対称に葉を並べるよりも少しずらして交互に並べたほうがバランスが良かったので画像のように作りました。
 

 

新型ミル打ち月桂樹指輪30
新型ミル打ち月桂樹指輪17
月桂樹彫刻風指輪11

一番最初に用意していた月桂樹の指輪は写真の腕回りにミル打ちが入ったタイプと側面に月桂冠のように模様が入ったタイプでした。
 

 

月桂樹彫り風リング2
月桂樹彫り風リング4
月桂樹簡略化模様リング3
ローレルイラストリング13

前回は古くからあるデザインの
月桂樹のタガネ彫りをモチーフにした
Laurel (engrave)/ローレル (エングレーブ)、
月桂樹をイラスト化した
Laurel (illustration)/ローレル (イラストレーション)の
2つも作りました。
 

 
新型模様リング10
これ以外だと写真のような葉の部分が立体的な指輪もよく見かけます。

そこで追加して作ったのが今回の指輪です。

立体的で彫刻っぽいので名前はLaurel (sculpture)/ローレル (スカルプチャー)にしました。
 

 
新型模様リング5
これまでに作った月桂樹模様を変形させてCADデータは作っています。

葉の向き、大きさで指輪に収まる枚数、ひいては見た目のバランスが変わってくるので、何パターンか試してからサンプルの形に決めました。

 

 

2、編み込み模様リング

内側編み込み模様リング3
内側編み込み模様リング2

模様リングの2つ目はこれもよく見かける編み込み(折り込み)模様です。
 

 

すでに編み込み模様のKnitという結婚指輪を用意しています。

Knit(ニット)は編み物をモチーフにした結婚指輪で太い糸の三つ編み(銀色)と3本の糸を束ねた三つ編み(金色)の2種類を作りました。
 

 
新型模様リング11
指輪の名前は

・Fold(折り込み)
・Crease(折り目)
・Weave(編み込み)

などを考えていましたが、新しく作った指輪は甲丸リングの形を活かしたまま、中心(内側)に緩めの編み込み模様を入れたデザインなのでKnit (inside)/ニット (インサイド)にしました。
 

 
新型模様リング6
この指輪も先ほどの月桂樹模様と同じように何パターンか試しています。
 

 

3、アカンサス模様リング

アカンサス指輪3
アカンサス指輪11
アカンサス指輪10
アカンサス指輪8

3つ目はアカンサス模様です。

アカンサスは鋸葉状の葉を持つ植物で、名前の由来はギリシャ語のakantha(トゲの意味)からと言われています。アザミに葉が似ているため和名はハアザミといいます。

この植物をスクロール(渦巻き)風の模様にしました。
 

 

アカンサス指輪5
アカンサス指輪9
アカンサス指輪15
アカンサス指輪4

この植物はヨーロッパではその時代の様式に合わせて様々なデザインに形を変えながら愛されています。19世紀のアーツアンドクラフト運動の中心人物であるウィリアム・モリスがデザインした室内装飾用の壁紙などが有名です。

この植物が装飾のモチーフとなったのは紀元前5世紀の古代ローマで、建築家カリマコスが亡くなった少女の墓に供えられた籠に絡みついたこのアカンサスの美しさに魅了されて柱の装飾に用いてからと言われています。

アカンサスの葉を装飾に使ったこの建築様式は古代ギリシアの都市国家の「コリントス」から取ってコリント様式と呼ばれます。
 

 

ジュエリー用語辞典にも載っていて意味のある植物なので過去にサンプルリングを作ろうとしたのですが、その時は納得のいくデザインができませんでした。
 

 

立体まで作ってはみたもののイマイチだと感じたので、アカンサス模様は止めて、クルクルした形が似ている左上の蔓(つる)模様の指輪に作りました。

スクロール模様でいうと右下の透かし蔓(つる)模様、
 

 

アカンサス指輪16

写真のハワイアンは波をモチーフにしていると言われてるスクロール模様彫りをサンプルとしてご用意しています。

前回はこのハワイアンをモチーフにしたハワイアン彫り風のサンプルリングを作りました。
 

 
新型模様リング12
洋彫りのスクロール(渦巻き)はアカンサスの葉をモチーフにしていると言われ、彫り模様では定番の一つです。

ハワイアン彫り風のサンプルリングを作ったことで途中でアカンサスのスクロール模様を諦めていたことを思い出したので再挑戦してできたのが写真のアカンサス模様リングです。

指輪の名前もそのままAcanthus/アカンサスにしました。
 

 

今回作った3つの中ではこのアカンサスのスクロール模様が一番時間がかかっています。

両淵は0.5㎜でスクロール部分をゴム型が取れるサイズに大きさ、数を調整するのが大変でした。
 

 

まとめ

新型模様リング0
3つの新型模様リングについては以上です。

模様リングはこれからも需要のありそうなデザインは追加して作っていく予定です。

 


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